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caminoのnoteでcaminote(カミノート)。日々の思いをつらつらと。

見せてやるぜ僕のユニバース(グリッドマンユニバース感想記事)

アニメ映画『グリッドマンユニバース』を観てきました。
皆さんはもうご覧になられましたか?まだでしたら劇場へGO!

この記事の内容はグリッドマンユニバース及びSSSSシリーズのネタバレを含みます。ご了承ください。

 

 

 

 

 

〜記事本文〜

 

情緒が破壊されました。

 

どうも、caminoです。グリッドマンユニバース、最高でした。
最高過ぎて、初日に5回観てしまいました。記事執筆時点では通算11回観ています。そんな状態なので、ここのところグリッドマンユニバースの事しか考えられていません。だいぶヤバいです。

今回は、グリッドマンユニバースの感想をつらつらと書いていこうと思います。
とはいうものの、良かった点が多過ぎて書く前から内容がまとまる気がしません。
なので、SSSS.GRIDMANやSSSS.DYNAZENONの感想を書いた時のように、作中の展開を振り返りながら箇条書きで思ったことを書いていくスタイルにしようと思います。

……というスタイルで書いていたら、なんと25,000字近い分量となってしまいました。流石にこれだけの分量を読むのは大変だと思いますが、せめて「最後に思うこと」だけでも読んでくださると幸いです。(目次から飛べます!)

 

【参考】↓SSSS.GRIDMANやSSSS.DYNAZENONの感想記事

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※まずこの目次について。劇中の展開をベースに、caminoが勝手に複数のパートに分けました。何回も見たとは言え記憶を頼りに書いてるので、順番が前後したり不正確な部分があったりするかもしれません。悪しからず。

冒頭

TRIGGERロゴ→「悪い、遅くなった」→六花を誘うぞ→バレーボールhit→保健室→六花を誘うも断られる→脚本を読み上げる裕太→内海とデート→「彼氏」目撃&アンチからの最初の干渉→「グリッドマン物語」の脚本会議→ディモルガン登場

  • TRIGGERロゴ。この時点でGの丸部分にアカネの目がある事に2回目で気づいて戦慄。
  • 「このドラマはフィクションです」的な注意喚起。黒背景に白文字はちょっとエヴァっぽかった。ジャンクのような古めのモニターに映ってる風だったのも面白かった(後で電光超人を見て、電光超人の時に表示されていたものと同一であることに気づく)
  • 「わりー、遅くなった」が本映画の最初の一言。これは映画の公開を心待ちにしていたファンへのメッセージにも感じて、グッと来た
  • グリッドマンを「同じ紙に繰り返し書いて消す」裕太。こんな序盤のさりげない描写がクライマックスの伏線になるなんて思わんやん普通……(褒め言葉)
  • いきなり「六花に告白しようと思う」で、この映画の主題がハッキリと提示される。この一貫した軸があったからこそ、正気の沙汰とは思えない「てんこ盛り」が実現したのだなぁと振り返りながら思う。
  • ↑に対し、「おそい」とバッサリな内海。この独特な冷めた声の演技に思わず笑いつつ、何だか懐かしさも感じた。
  • 意を決して演劇のチケットをもらうも、六花の噂を耳にしてしまう裕太。「彼氏できたん!?」が四方八方から聞こえてくるのは劇場の音響ならではの不思議な感覚だった。
  • 球技大会の観戦中、「彼氏できたん!?」に気を取られていた裕太は飛んできたバレーボールに気づかず怪我をしてしまう。この時の裕太が妙に飄々としてるなと初見時は違和感があったが、まさか「痛くない」に繋がる重要なシーンだったとはゆめにも思わなかった。
  • 保健室から出てきた六花に出くわす裕太。「先行ってて〜」と2人を促す六花に対し、なみこがやけにニヤニヤしてたのがもうバレバレなんだろうなと思えて可笑しかった。
  • 意を決して六花を誘うも、あっけなく振られる裕太。「内海くんと行ってくれば?」とあっさり突き放す六花が案外ニブいと言うか何というか……。
  • 数日後(?)、ジャンクショップに集まるグリッドマン同盟の前で演劇の脚本を読み上げる裕太。勇ましいBGMと共に語られる脚本の内容はSSSS.GRIDMANのあらすじそのもので、内容がうろ覚えの人にも優しいフォローだった。前作のあらすじを自然と物語の流れに取り込んでいるのは、実に巧みで唸ってしまった。ここのBGMすき。
  • 新条アカネの描写を褒められた六花が無邪気に嬉しそうにしてるシーンが、普段クールな「六花さん」のイメージがちょっと崩れて可愛らしかった。
  • その後口論を始める六花と内海。言葉同士を重ねる独特の演出が、SSSSシリーズらしくて実家のような安心感だった。
  • と思いきや、六花ママに茶化されると冷静になる二人。成長を感じるとともに、高校2年生であることが判明。序盤で時系列が分かるのは非常に良かった。
  • 場面は変わり六花……の代わりに内海とデートする裕太。その際内海と見に行った演劇で裕太が泣き出したのにはビックリした。なんたって、これは予告PVでも出てきた印象的なカット。てっきりクライマックスで裕太が泣いているシーンなのかと思っていたのに、序盤の日常シーンで出てきて思わず笑ってしまった。ヒーローショーで泣く内海と舞台で泣く裕太で綺麗に対称関係になっていたのも笑った。
  • 帰り道、六花を見かけてしまう2人。六花が大学生のアパートに入っていくのを見て呆然とする裕太の表情に思わず笑ってしまった。と同時に、グリッ太の頃と比べ明らかに表情が豊かになっていて、中身が別物なのを改めて実感した。
  • 「見なかった事にしよう」→「記憶喪失っす」→「流石っす」→「だめじゃねーか」の下りもクスリときた。記憶喪失の経験をギャグに使う裕太のパワフルさよ。
  • で、トドメの「裕太……。頭、おかしくなったんだな」で笑いを堪えきれなかった。内海の声が妙に優しいのも可笑しかった。序盤はギャグのラッシュで一気に聴衆を作品世界に引き込んでくれたのでとても見やすかった。同時に、SSSSシリーズのギャグセンの「キレ」は健在だなと安心した。

1体目の怪獣「ディモルガン」戦

ジャンクショップに走る裕太→アクセスフラッシュ→馴染んでなくて苦戦→レックス登場→グリッドマンとレックスの共闘により撃破

  • 翌朝、グリッドマン同盟の3人が何気なく会話しているシーンから一転、突如として怪獣が登場し、日常が崩壊。日常から非日常への急転直下は「特撮」的で非常に良い。街の破壊描写も特撮的で、ギャグだけじゃなく映像面でもSSSSシリーズの持ち味は健在だなとテンションが上がった。
  • 1体目の怪獣、「ディモルガン」。鞭のような器官でビルを投げ飛ばすダイナミックさが気に入った。
  • 後で知ったことだが、今回登場する怪獣の名前は全てGRID"O"MANのアナグラムになっているのだとか。遊び心かと思いきや、今作の怪獣は全てグリッドマンから生み出されたものなので伏線とも言える。丁寧な設定に唸る。
  • グリッドマンが「聞こえる」裕太は考えるよりも先にジャンクへと駆け出す。これはSSSS.GRIDMAN1話の「怪獣が聞こえる」のセルフオマージュでファン的には嬉しかった。
  • 続いて、ジャンクショップへ駆けつける道中で街の崩壊に巻き込まれているところを新世紀中学生が助けるシーン。最初に助けに入る新世紀中学生がヴィットなのも意外だった。武器のボウガンが落下する車を吹き飛ばすシーンがカッコよかった。
  • 裕太が街中を走ったりジャンクショップに入店したりするシーンのカットも、SSSS.GRIDMAN1話のセルフオマージュでファンとしてはニヤリ。
  • 一方で裕太の方はグリッ太と比べて明らかな違いが出ていたのが面白かった。日常シーンでは弱々しく頼りない印象だったのが、「記憶は無くても出来ることがあるならやる!」と一切の躊躇なく言い切れるのはカッコいい。良くも悪くもヒーロー体質というか、アカネの言うところの「ちょっとヘンな人」なのかもしれない。
  • 何より、ジャンクに映ったグリッドマンに対し「説明は後だ!」と言い放ったのはSSSS.GRIDMAN1話と真逆で面白かった。ジャンクをがっしり掴んでモニターに顔を近づけたり、声にも強い意志を感じられたりと、グリッ太と比べて表情が豊かな描写が続く。
  • グリッドマンが最初は電光超人の姿で出てきたものの、裕太に配慮してプライマルファイターになったのは良かった。
  • 本作最初のアクセスフラッシュ。裕太が目を閉じて落下しながらグリッドマンと合体する描写は凛々しくてカッコよかった。
  • 片腕を真上に掲げ上昇する通称「グングンカット」はSSSSはおろか電光超人、果ては源流であるウルトラマンからの伝統だが、グングンカットのまま怪獣を殴り倒す演出はちょっと新鮮でよかった。
  • 初めての変身で思うように戦えないグリッドマンと裕太。グリッドマンがやられているシーンも街が派手に崩壊していて迫力満載の映像に仕上がっているのは流石だった。特に真下から舐めるようなカットはすごく良くて、トークショーか何かでキャストの方も触れていた気がする(うろ覚え)。
  • 苦戦するグリッドマンの元に駆けつける「新人君」。空が光って巨体が降ってくる演出はSSSS.DYNAZENONのグリッドナイト登場時を彷彿とさせてテンション上がった。同時に、今回はSSSS.GRIDMANの方がメインになると思っていたので、想像より早いダイナレックスの登場にテンションが上がった。
  • 「俺が何者か、答えを見せてやるぜ!」はSSSS.DYNAZENON1話の「お前が何者か、答えを見せてみろ!」のセルフオマージュでファンとしてはニヤけるのを止められなかった。
  • 連続して頭突きを繰り出すダイナレックス。獣形態ならではのワイルドな戦い方がよかった。
  • そしてお待ちかね「なんとかビーム」。夢芽の呼称を引き継いでいる所がいかにもガウマらしくて涙腺が緩んだ。
  • ディモルガンからの反撃に押され気味なレックスの横を軽やかにステップするグリッドマンの映像は綺麗でよかった。
  • トドメはグリッドビーム+レックスロア。SSSS.GRIDMAN世界とSSSS.DYNAZENON世界を代表する2人の共闘は、クロスオーバー作品の最初の戦闘として満点の仕上がりだった。

日常パート 〜混ざり合う世界〜

ジャンクから裕太とレックス帰還→内海から裕太にビー玉が渡される(1)→「え、全員うちに泊まるの?」「お風呂先いただきました」→風呂場でビー玉を眺める裕太(ビー玉2回目)→風呂場のおばけ怖い裕太+なみこはっすに脚本ダメ出しされる→校内でレックスと遭遇→プールサイドでビッグクランチの説明「この世の終わり」→バッセンで内海とちせが遭遇→風呂場でビー玉眺める裕太と全裸ヒキニート(33)遭遇→オシャカフェでよもゆめと六花遭遇→ジャンクショップでガウマ隊集結「続けて続けて〜」

  • ここで人間体のレックスが登場した時めちゃくちゃ嬉しかった。あくまでダイナレックスそのものになっており人間体での登場はないと思っていたため……。ガウマ好きにはあまりにも朗報だし、サプライズとして隠しておいてくれたのも良かった。スーツも似合っててカッコいい。「新世紀中学生のガッ……レックスだ!」にも笑わせてもらった。
  • ガウマあらためレックスになっても人の良さと豪快さは健在なようで本当にニヤニヤが止まらなかった。名前を聞いて「いい名前だな!」と褒めてくれるところも健在で、ガウマファンとしては既にこの時点で笑いながら泣きそうだった。
  • ジャンクショップからの帰り道。さりげなく重要な、内海が裕太にビー玉を渡すシーン。"ヒーロー性"の象徴として描写されているアイテム(とインタビューか何かで聞いた気がする)なだけに、裕太が再び戦うことを決意するこのシーンでビー玉が裕太の元に返ってくるのは感慨深い。
  • 裕太が「俺はどうするべきだと思う?」と内海に意見を求めているのは新鮮だった。ここはグリッ太との違いが出てるなと思った
  • 内海の「心配なんかしてやらねー、けど一緒にいてやるよ」の演技がすごく上手かった。最初のちょっと突き放すような声からの、急に優しい声になるのがグッときた。良い友達やん……
  • しっとりな感じの裕太内海のやり取りから一転、新世紀中学生が押しかけ賑やかな六花亭。マックスの「お風呂いただきました」に対する六花の「うわぁ……」と言うリアクションが個人的にツボだったりする。
  • ところ変わって裕太の入浴シーン。アンチからの最初の干渉が発生するシーンだが、裕太目線(初見視点)ではそんなことは知る由もなくただただ怖いだけのシーン。突然大きな音が鳴るのは定番とはいえ、しっかりホラー要素も入れてきたのは好感持てた。
  • 翌日、渡り廊下の屋上を歩くグリッドマン同盟。しれっと手すりに捕まってるガウマさんが映る構図はビックリしたけど面白かった。
  • ちゃんと来賓者用のスリッパ履いてるガウマさんすこ。SSSS.DYNAZENONの時に不審者として追い出されていた頃からすると成長したな……って思った。率先して町内の様子を歩いて見て回る行動力も健在なようで良かった。
  • ガウマさんから世界が複数あることを告げられる同盟の3人。(オタク知識とはいえ)内海がマルチバースの概念にいち早く気づく描写が良かった。
  • そして背後から現れる新世紀中学生。声の主張が妙に激しいマックスさんにじわる。六花の「うわぁゾロゾロと……」ってリアクションにも笑った。
  • そしてプールサイドで世界の異変について解説が入る。「次元単位のビッグクランチ」とかいう小難しいワードでSF脳のワイ、テンション爆上げ。
  • そういった難しそうな概念にも、「怪獣のいる世界」と「怪獣のいない世界」を両の手で表現して、それらが「重なり合わさる」という直感的な説明によるフォローが入るのがSFとして見ても良かった。また、その描写にSF的な解説だけじゃなく「立花と裕太の手が触れ合う」ラブコメ的な文脈としての意味も持たせているのが良かった。
  • 「世界」を表現している裕太と六花の手を、「(ビッグクランチが進んだら)消滅するんだ」と言いながら下に投げる(?)ガウマ。世界が消えてしまったら恋愛どころではない、ということを案に示唆しているようでこれも良い描写だと思った。
  • ディモルガンを退けた後も、世界には異変が起こり続ける。ちせを皮切りに次々とガウマ隊の面々が出てくるのは熱かった。
  • 風呂場のシーンで、また「幽霊」か?と思いきや今度は暦。あたふたした挙句「おかあさーん!」と叫ぶ情けない2人には思わず笑ってしまった。
  • そしてガウマ隊の4人がジャンクショップに集結。ガウマさんが息切らせながら駆けつけてくれたのがグッときた。やっぱり皆に会いたかったんやな……
  • ↑その走ってる時のカットもSSSS.DYNAZENON1話のセルフオマージュで面白かった。
  • ちょっと涙声でガウマさんに頭をぶつける蓬が本当に「「「良い」」」。蓬とガウマのそれぞれの人格、および関係性がめちゃくちゃ好きなオタクにはぶっ刺さるシーンだった。周回しててもここは毎回泣いてしまう。
  • かと思えばしんみりした空気をぶち壊してくる六花ママでクスリとさせてくる。
  • 泣けたり笑えたり目まぐるしい展開の中、「続けるか?」「やめときましょうか」(ガウマ隊一同ニッコリ)のやり取りは、ガウマと4人のしんみりし過ぎない爽やかな再会を彩っていて良かった。感動と笑いがごちゃ混ぜな、とても満たされた気分で眺められるシーンだった。

ガウマ隊集結 〜おかしくなっていく世界〜

大勢で焼肉→夢芽と六花の会話「モバイルバッテリーを貸そう」→いびきで寝られない蓬→蓬とガウマの平穏なひととき→「学校行かなくていいの?」→内海六花を手伝うガウマ隊〜電光超人のBGMに乗せて〜→ジャンケンでアイス買ってくる→裕太と六花のデート「おばけ?」→北海道フェア→アレクシスの姿をした六花パパ→異変に気づく裕太「痛くない」→裕太と蓬が合流→ドムギラン登場

  • ここからの日常パート、ファンが一番求めていたものをお出しされていて最高だった。
  • まずは六花亭にお泊まりする新世紀中学生+ガウマ隊。このワンシーンだけでも語ることが盛り沢山。
  • 焼肉パーティ。「ビッグクランチ中は家に帰れないの?」「帰れないんじゃない?」という、よも夢芽の呑気な会話が可笑しくも微笑ましい
  • そしてSSSS.DYNAZENON最終話では就職したはずの暦が、今は何故か就活中。蓬の「大丈夫なんだ」という冷めたリアクションにめっちゃ笑った。ガヤでしれっと「『大丈夫』の基準おかしくないですか?」とツッコむ夢芽も辛辣で笑った。
  • ちせに野菜を持ってきてあげるガウマ。ちせが一番心配しているであろうゴルドバーンの状況についても真っ先に触れてあげていて、本当に「できる男」だな……ってなった。
  • 一方その頃、グリッドマン組は台本のチェック。内海にちょっかい出すボラーと、それを上手く交わしてる内海の描写が一瞬ながらも2人の関係性が色濃く出てて良かった。
  • 内海と六花の力になれないことを嘆く裕太。グリッドマンの「君の物語は……?」は初見時すこし引っかかったセリフではあったが、まさかあそこまで気にしていたとは。余談だが、応援上映の時にこのシーンで「グリッドマンは悪くないよ!」と「グリッドマンが悪いよ!」という声援がほぼ同時に聞こえてめっちゃ笑った。
  • シーンは変わり夢芽と六花のご対面。人見知りは若干残りつつ(一旦物陰に隠れるの可愛い)も、ちゃんと六花とコミュニケーション取れてて夢芽の成長を感じる。
  • 蓬との関係について聞かれた時に食い気味に「付き合ってます」って主張する夢芽に笑った。
  • そんなガールズトークに割り込んでモバイルバッテリー貸してくれるマックスさんに笑った。声のせいかやけに主張が強い。
  • 今度はムサい男部屋の就寝シーン。映画館で聞くとイビキが本当にうるさくて蓬に同情した。
  • そしてこの後の、蓬とガウマの対話シーン。これ、僕はこの映画の屈指の名シーンだと思ってます。何度見ても泣いてしまうし、今思い出しながら書いている最中ですらちょっと眼が潤ってきてる。ガウマにとって蓬は命の恩人。蓬にとってガウマは夢芽やガウマ隊のメンバーと自分を繋いでくれた大切な人。ちゃんと別れを言えていなかった事がお互い心残りになっていたところを、再開してようやくきちんと2人で話す機会を設けられた。眠そうにしながらも「今なら幾らでも聞いてやれる」と蓬に正面から向き合ってくれるガウマさんも良いし、「言いたいこといっぱいあったはずなのに……」と言いつつ結局言葉を詰まらせる蓬も良い。最終的に交わした言葉は「元気そうで良かった」「ガウマさんもね」だけだった。けど、この一言に込められた気持ちに想いを馳せるだけで感情が無限になってしまう。この時の蓬の涙声で震えた感じの演技が最高だった。トドメに、蓬の頭を撫でるガウマで感情が決壊。劇場では大泣きしてしまいましたとさ(書いてる今も泣いてる)。メタな話をすると、ぎゅうぎゅうに色んな要素を詰め込んでかなり厳しい尺の中でも、この2人のシーンを残しておいてくれて本当に良かった、と思います。
  • 翌朝。あまり寝れなかった蓬はなんと11時起き。この辺のシーンはグリッドマンと話して「何一つわからん」ちせや、ビッグクランチだから学校に行けないという夢芽の「ギャグ」を聞く六花ママとか妙にクスッとくるシーンが多い。
  • そして学園祭準備シーン。『電光超人』の明るいBGMも相まって、青春感が出ていて良かった。ユニバース前に電光超人を少し復習していたこともあり、このシーンはすごくテンションが上がった。
  • ガウマ隊学生組は学園祭の準備を手伝いに来たはずが、いつの間にかグリッドマンイラストコンテストが開幕されることに。この時何気なく書いたグリッドマンの絵が後々生きてくるという展開が本当に好きです。
  • この場面は、ちせが六花からメモ用紙をもらう時に六花がちせのボディペイントを褒めるシーンがめちゃくちゃ好きです。ちせにとってボディペイントはSSSS.DYNAZENON時は布で覆って隠してしまうある種のコンプレックスだったのに、それを堂々と見せるまでに成長し、しかもそれを六花に褒めてもらえているという。成長を実感してうるっときた。その上最終盤でこのボディペイントの描写が生きてくるシーンがあって、本当に全ての要素を生かしてくるなと感動した覚えがある。
  • 色々あってようやく完成する台本。辛口だったなみこもようやくOKをくれる。この辺の台本書いてダメ出しされてまた書いて、を繰り返す展開は、本作グリッドマンユニバースの脚本会議でもあった一幕を一部作中に反映したりしてるのかな、と少しメタなことを思ったりするのでした。(実際、最終的な演劇のタイトルは「グリッドマンユニバース」だし。)
  • このシーンでさり気なくみんなが描いたグリッドマンを胸ポケットにしまう裕太。ちょっとした描写だったけど、これが終盤に生きてくる展開が本当によき。
  • 突如として発生するアイスじゃんけん。ちせの「食べたいっすー」がノリよくて好き。ジャンケンを提案するはっすが妙にテンション高いのも好き。このジャンケンしてるシーンで映る窓の絵がやけに丁寧で、窓についた水垢や埃の後までリアルに再現してるのがすごい良かった。このシーンではSSSS.GRIDMANのキャラもSSSS.DYNAZENONのキャラもみんな仲良さそうにしている姿が見られて、両作のファンとしてはとても嬉しかった。と同時に、ほんの少しだけ「仲良くなるのが早すぎないか?」という違和感もあった。作中での時間描写がどうなっているかもよく分からないものの、ちょっと「都合良すぎる展開」というか……?でも、この「違和感」や「時間感覚の曖昧さ」にさえちゃんと理由がある事がこの後明かされて、この作品の「単なるファンサービス的なクロスオーバー」に止まらない底知れなさを感じるのであった。
  • これもある種の予定調和で、アイスを買いに行くことになったのは裕太と六花。「外涼しいね」は終盤の学園祭当日も同じセリフを言うので妙に印象に残った。何かのメタファーだったりする?(深読み)
  • まあ難しいことは抜きにしても、いい感じの関係にある少年少女が文化祭準備の夜2人で抜け出して、月明かりに照らされた夜の街を歩くというシチュエーションはすごく良い。このシーンで流れていたBGM(おそらく新曲)もムードを良い感じに盛り上げてくれていた。
  • そして問題の公園シーン。良い感じの雰囲気になったものの、アンチくんオバケに邪魔され告白は未遂。予告PVで印象的だった乱れ髪の六花はこのシーンだったのかと驚きつつも(もうちょい深刻なシーンだと思ってた)、乱れた髪を直そうともしない悲しげな表情が印象に残った。「アイス溶けちゃうよ」も(恋愛の)賞味期限が切れちゃうよ、的な意味を重ねているように思えてならない。
  • 翌朝。完成した台本を読み返し、「ある人物」がいなくなっていることに気がつく裕太。(当の本人が出てくるとはこの時つゆほども思っていなかったわけだが……) そんな裕太を気遣って話しかけてくる蓬の大人さと言うか優しさがすごく好き。その後裕太をからかうところも好き。
  • ところ変わって北海道フェア。妙にテンション高い声の六花ママ好き。
  • そしてガウマとひめの再会。思ったより気さくなひめのキャラに驚きつつも、「ヘイ、5000年ぶり〜」には思わず笑っちゃった。子供っぽくガウマを揶揄ったかと思えば、「カニ、昔2人で食べたよね」と大人の女性っぽい優しい声を出したり、高貴な身分を思わせる凛々しい声で「守るべき3つのこと」について説いたりと、一瞬の出番ながらひめの様々な面を見ることが出来てよかった。声が本当に良い。そして明かされる守るべきことの「3つ目」。賞味期限というのは一見オチのように思えて、5000年前に命を落とした2人から語られると「生きている内にやるべきことをやっておく」的なニュアンスにも聞こえる。その真意が深く語られることはないものの、ある程度推測できる状態にしておきつつ曖昧にしておいてくれてるおかげで色んな解釈が成り立つのは脚本の手腕が光る。caminoも約束と、愛と賞味期限は守ろうと思います。
  • そして問題のシーン。日常に潜む違和感が徐々に形を成して襲いかかってくる感じのホラーはすごい好きなので、このシーンはめちゃくちゃ気に入っています。当たったボールが痛くないというところから始まり、期末テストがいつの間にか終わっていたり、複数の世界が重なり合う異常事態が続いていても「楽しいからよくない?」で流されたり、挙げ句の果てに六花の父親がアレクシスの姿をしていたり。アレクシスが出てくるシーンはビックリしすぎて思わず体が動いてしまったほど。
  • 続く学校廊下のシーンは、意図的に崩された作画や乱れるBGMなどの演出から繰り出される迫力が凄まじかったので、めちゃくちゃ気に入っています。これこそ映画館で見てナンボだなと思った。裕太が最初に抱いた違和感であるバレーボールが当たって脚本の紙がバラバラに散らばるのは、映像として派手なだけでなく世界の「筋書き」がおかしくなっていっていることを視覚的にも表現していて非常に面白かった。
  • 打ち消し線で消される「新条アカネ」の印象的なカットの後、階段からずっこける裕太。そこに駆けつけるのが蓬であることにも意味があるのが良い。「楽しいからよくない?」のシーンでもただ一人疑念を口をしており、後で説明される通り「怪獣との結びつきが強い」蓬だからこそ、このシーンで駆けつけられたわけだし、「幽霊」を認識することができた。と同時に、(怯えてるシーンではあるものの)裕太と蓬という新旧主人公が揃い踏みするカットは主人公補正的なもの感じて熱くなった。
  • そして画面にヒビが入る演出からの場面転換。文字通り世界の「外側」からの干渉であることが端的に伝わって良い演出だと思った。

2体目の怪獣「ドムギラン」戦

ビルの間からドムギラン登場→ジャンクに駆けつけ、アクセスフラッシュする裕太・新世紀中学生・レックス→「全員揃ったぜ、大将!」→フルパワーグリッドマンとカイゼルグリッドナイトの夢の共演→武器シャッフル→ドムギラン撃破→裏切りのグリッドナイト

  • 「幽霊」の正体も分からぬまま突如として突入する戦闘シーン。ビルの間から姿を現す2番目の怪獣「ドムギラン」はパッと見で強さが伝わってくるデザインで好きでした。
  • その後の戦闘でも、グリッドビームを意に介さず突進するばかりか、ビルに打ち付けられたグリッドマンに3度もタックルするワイルドさは怪獣ながらカッコよいと思ってしまった。
  • グリッドマン陣営もやられてばかりではなく、見たことのない戦艦とともにゴルドバーン+グリッドナイトが助太刀に参戦。2代目が戦艦に乗って参戦してくるというだけでもオタク心をくすぐるシチュエーションなのに、戦艦から飛び降りるグリッドナイトがカッコいいのなんの。ガウマさんが「あいつはいつも遅れてやってくるんだ」と悪態をつきながらも嬉しそうにしてるのがすごい良かった。ゴルドバーンの活躍に喜ぶちせも最高。
  • 集結する「5人」の新世紀中学生。キャリバーの登場シーンは、お寺の背景に巨大な剣が浮遊するという「日常の中に非日常が紛れ込む」異様さが際立っていて良かった。続くヴィットの登場シーンも、窓ガラス?に月が映り込むというオシャレな演出でテンション上がった。
  • そしてお待ちかねのダブル合体。ガウマの「揃ったぜ、大将!」の大将呼びは彼らしくてしっくり来た。
  • フルパワーグリッドマンとカイゼルグリッドナイトは流石に激アツすぎて劇場では手を握りしめていた気がする。
  • 対するドムギランも手強く、グリッドマンとナイトを軽々と振り回した挙句、両者をぶつけ合う怪力には「強過ぎんだろ……」と震えつつもそのワイルドさにテンションが上がった。敵は強ければ強いほど盛り上がるからね。初見時は、盛り上がり過ぎてこれがラストバトルなんじゃないかと思うほどだった。
  • お馴染みのショートするジャンクにニヤけていたら、今度はcaminoの大好きな戦闘BGM "all this metal"が流れ始めてテンションは最高潮に。BGMに合わせてオーラを放ちつつ画面手前へ突進してくるドムギランのカットは敵ながらカッコ良過ぎて惚れそうになった。
  • 畳みかけるようにグリッドマンとナイトの間での武器交換というオタクの大好きな展開をやってくれて、最高潮になったテンションはいよいよ限界を突破。初見時は応援上映でもないのに叫びそうになったのを何とか抑えるので必死だった。
  • 戦闘シーンのカッコ良さはさらに加速する。グリッドマンの持つダイナミックキャノンで連鎖爆発が起こるシーンでぶち上がったとろに、ナイトの太刀筋で煙ごと敵を細かく斬りつけるというダイナミックな映像描写。劇場では感極まってしまいました。
  • こうして強敵ドムギランに打ち勝ったグリッドマン達。あまりにも激しい戦闘にクライマックスを予感したのだが、なんとここから一捻りある。2人目のナイトがグリッドマンを突き刺した時は、「何故ナイトがグリッドマンを攻撃するの?」「そもそもなんでナイトが2人いるの?」と疑問符がいっぱいだったが、それ以上に「もっとこの映画を楽しんでいられる」という期待感が勝っていた。
  • グリッドマンやガウマ隊メンバーがピクセル状になって消えていく演出は、コンピュータワールドらしさが出ていた上に、えも言われぬ恐ろしさがあって良かった。

全ての元凶「グリッドマンユニバース」

回想(裕太&蓬とアンチ達の遭逢)→雨の公園にて「グリッドマンユニバース」の解説→ノワールドグマに取り囲まれる→グリッドナイトに守られつつ逃げ惑う一同→蓬のインスタンスドミネーション→単身ジャンクに向かう裕太→アクセスフラッ……→裕太とアカネの対話@世界の外側→「どこだ!グリッドマン!」→ハイパーワールド?で裕太とグリッドマンの対話→アカネによるインスタンスドミネーション

  • ジャンクショップに現れたのは、SSSS.GRIDMANに登場した方のアンチと怪獣少女。こっちの姿も出してくれるのかとファンサにテンションが上がった。と同時に、何かと事情を知っていそうな2人から謎の解明がなされるのだという期待感も高まった。
  • そして裕太の口から語られる「グリッドマンが原因である」という衝撃の事実。同時にジャンクの電源が落ちる描写に、絶望感が半端なかった。
  • 舞台は変わり、雨の公園。本筋とは関係ないが、しとしととした雨音の描写がとてもリアルで良かった。
  • 怪獣少女による事態の解説。姿も形も借り物であるグリッドマンは元々は純粋なエネルギー体であり、宇宙と一体化し世界を創造する力を持っていたという、あまりにもスケールのデカい話。これにはSF好きオタクは心踊った。また、「グリッドマンユニバース」のタイトル回収をすると同時に、文字通り「グリッドマンが宇宙そのものであった」というシンプルながらも衝撃的な真相に思わず膝を打った。
  • これにより結局はダイナゼノン世界もグリッドマンユニバースの一部であることが判明する。これは他の人の感想などを当たって気づいたことだが、ダイナゼノンがアニメで表現されていること(SSSS.GRIDMANの実写世界ではないこと)と辻褄が合うので、その設定の整合性に膝を打った。さらには、「原作:グリッドマン」の表記(「電光超人」グリッドマンではない)の理由が、「ダイナゼノン世界がグリッドマンから生まれたことを示唆していたからではないか」と言う考察まで出てくる始末。この考察は個人的には半信半疑ながらも、ちょっと面白いと感じている自分もいる。
  • 自身が被造物である事にショックを受ける蓬。戸惑いつつもパニックにはならずに冷静に六花に意見を求める辺り、大人というか、よく出来た人だなぁとますます蓬の事が好きになるのであった。
  • その後に続く内海の「いいんだよ、作り物でも」にはすごいグッと来た。さらに続く怪獣少女の説明でも、一貫して「ヒトの持つ無限の想像力」を肯定する立場だったのがすごく良かった(その後の展開でも生きてくる)。この主張こそが本作の最も重要なポイントだと思うし、SSSS.GRIDMANやSSSS.DYNAZENONの続編であるという文脈から切り離した時におそらく唯一残る部分だと思う。(つまり普遍性を持った力強いテーマ性であるということ)
  • ↑思えば、電光超人の頃からグリッドマンのボディやアシストウェポンは直人や一平、ゆかといった少年少女の想像力から生み出されていたわけで、作品のテーマとして人の持つ想像力を肯定するのは自然で綺麗な流れなように思う。そこからフィクションの世界を肯定する方向に向かったのは、ある種エヴァとは真逆のアプローチのようにも思えて興味深い。
  • 怪獣少女の説明そのものもすごく良かった。フィクションという想像の産物を信じる力こそがヒトに共同体を営むことを可能にしたという発想は「サピエンス全史」で読んだ時にすごく感銘を受けたので、このアイデアを今度はSF作品内に取り入れて活かすというのは非常にセンスの良さを感じた。
  • そして、この小難しいアイデアの説明にあたって冒頭の裕太と内海でデートした時の演劇とヒーローショーの下りを一瞬入れるのも良かった。身近な具体例を通してアイデアをより分かりやすく説明しつつ、序盤の展開に別の役割を持たせるのは作品の構成として巧み。
  • 世界に起こっている異変も、「フィクサービームでアンチからの干渉が修正された」や「複数の世界がグリッドマンの合体能力で融合してしまっている」といった風に、ファンにはお馴染みのグリッドマンの能力をベースに説明がされていたので非常に説得力があった。
  • さらに、宇宙がグリッドマンに飲み込まれたことにより「閉じて」しまい、それによりカオスが加速したという説明も良かった。怪獣が登場したり、ガウマ隊がSSSS.GRIDMAN世界の住人と急に仲良くなったりといったある種「視聴者にとって都合の良い展開」に対してさえも理由を与えていたのは、SFとして素晴らしい。六花の「私たちの台本みたいに?」というフォローも分かりやすくて良かった。
  • おまけに、裕太が世界の異変に気づけたことや、アンチ達が裕太に干渉できたことにもちゃんと理由づけがされていて素晴らしかった。一度グリッドマンと合体した裕太にグリッドマンの情報の痕跡が残っていたこと、そして何より裕太が六花への恋心を抱いていたことが打開の鍵になっていたのが、個人的にはかなり好感を持てた。序盤で裕太がひとりごちた「六花に彼氏がそれこそ世界の終わり……」という何気ないセリフがここにきて生きてくる。
  • 説明パートが終わったかと思えば、今度は3体目の怪獣「ノワールドグマ」の登場。八方向に広がる光を模した頭部の異様な形状はかなり良いデザインだと思った。
  • 逃げ惑いながら「今回の事態の元凶はグリッドマンユニバースの外側にいる」という絶望的な事実を突きつけられる裕太達。唯一の打開策である「宇宙規模に拡大したグリッドマンとのアクセスフラッシュ」も、裕太の自我が失われてしまうリスクと隣り合わせという始末。
  • アンチにも限界が訪れ怪獣態を維持できなくなる。絶体絶命のピンチに、蓬がまさかの「インスタンス・ドミネーション」。SSSS.DYNAZENON12話のインスタンスドミネーションが好きな身としては、極上のファンサービスに叫びそうになってしまった。ここで流れているBGM "dyna tension and pinch"もすごい好きなので、思わず(自分に向けたファンサービスか?)と錯覚してしまうほど良いシーンだった。
  • グリッドマンの所に行くんだろ!ここは俺に任せろ!」と叫ぶ蓬はあまりにも先輩ムーブがキマっていてカッコ良過ぎた。
  • そして自我が消えてしまうかもしれないという問題点が何も解決していないにも関わらず、一切迷うことなくジャンクショップへ駆け出す裕太。普段はぶっちゃけ冴えない感じの彼だが、こういういざと言うときにキメるのはめちゃくちゃカッコよかった。同時に、圧倒的なヒーローとしての資質を感じ、SSSS.GRIDMANに選ばれるのも納得だと感じた。
  • そんな彼の背に思わず「裕太」と下の名前で呼びかけてしまう六花にグッときた。BGMが止むのと同時に、吐き捨てるように「少しは迷ったりしろよ……」と呟く演出に胸が締め付けられる思いだった。
  • 何とかジャンクショップに辿り着く裕太。「いい方向のへんな人」という六花ママの説明が可笑しくて笑ってしまった。
  • そしてようやくアクセスフラッ……と思いきや、突然の暗転。初見時は本当にビックリした。
  • その後に聞こえてくる声にさらに度肝を抜かれた。正直今回は出てこないだろうなと思っていただけに、声の出演だけでも嬉しかった(なおその後)
  • 光が差し込むような独特の表現からの、実写の片目が覗き込んでくる演出。映像表現としての新しさに感心させられた。
  • アカネに導かれるようにして、無数の「宇宙」の中からグリッドマンを探し出す裕太。漫画などで様々な外伝的な作品をしてきたグリッドマンだからこそできる「あの演出」が、あまりにも良過ぎてすっかり惚れ込んでしまった。何より裕太の「どこだ……!グリッドマン!」。予告PVでも印象的なセリフだったが、最も盛り上がる場面で最も熱い演技を入れてくれて、もう「感謝」の二文字しか出てこなかった。
  • この後のシーンがまた素晴らしい。「例の空間」でグリッドマンと対峙する裕太。そして語られるグリッドマンの心情。裕太に対し負い目を感じていたのが、堅物なグリッドマンらしくもあり、でも超然としていた彼のイメージからはちょっとギャップもあり、で可笑しく思いつつも「解釈一致」で大変良かった。
  • それに対する裕太のセリフが本当に良い。表裏のない裕太が「一時期の記憶がないことは気にしてない」「むしろアカネを救えて良かった」と優しい声で本音を打ち明けてくれたことは、グリッドマンにとってどれだけ救いになったことだろう。グリッドマンが下げた頭を裕太が押し戻す描写も最高。
  • さらに、裕太の代わりに過ごした時期について尋ねられた際に、2つ返事で「とても楽しかった!」と答えるグリッドマン。その爽やかな返事と、走馬灯のように駆け巡る金眼裕太の思い出のカットに心から感動した。このシーンは何回見ても泣いてしまう。
  • 盛り上がる最高のBGM"emotion strings"に合わせて裕太の胸ポケットから飛び出る無数のグリッドマンの絵。それらが重なって1つの姿を形成し、アクセスフラッシュは為される。一人では実体さえ持つことのできないグリッドマンが、今まで関わってきた人たちの「心の中のグリッドマン」のイメージが重なり合うことにより再び姿を取り戻すと言う筋書きが、グリッドマンの独特なヒーロー像と見事にマッチしていて最高of最高。劇場では感涙に咽び泣いた。(コイツ何回泣くの?)
  • 所変わり、カメラは現実世界のアカネを映し出す。アニメの中に実写を混ぜてくる表現は好きなので、先程の「眼」だけで終わらずガッツリ実写映像を使ってくれたのはとても良かった。しかもこの作品の実写は、単に気を衒った演出にとどまらず「別世界にいること」の表現としてしっかり機能しているのが美しい。
  • 実写映像に上がったテンションにさらに追い討ちをかけるように、なんとアカネがインスタンスドミネーション。実写だけでなくアニメのアカネも見ることができて興奮してしまった。
  • さらに、emotion stringsから繋がるようにして流れる"Human Love CHHF 2023"。明るい曲調に合わせてアカネがまさかの魔法少女のような変身。加えてアレクシスの「再展開」。白く装いを新たにしたアレクシスのデザインがカッコ良かったり、アカネとアレクシスの共闘という特大のサプライズが来たりと、もう「テンションが上がる」とか「興奮した」とか言う言葉では表現しきれない程に情緒が壊れてしまった。封印を解かれたアレクシスの咆哮は本当にカッコよかった。

最後の怪獣「マッドオリジン」戦

  • ここからがもう怒涛の展開。アカネ率いるアレクシスが黒幕「マッドオリジン」の元へ急行。このマッドオリジンの声がまたカッコ良いのなんの。下半身がガッシリしてる安定感のあるデザインも、強そうで心惹かれた。登場時もBGM"11141 overtrue"は(おそらく)完全新規の曲で、壮大さが最高だった。
  • 「邪魔はさせない」「いいや、お邪魔するよ」のやり取りもまたアレクシスらしくて非常に良かった。
  • アレクシス曰く、マッドオリジンの正体は人間が怪獣を乱造した副次的な「現象」であり、感情はあくまで複写に過ぎないとのこと。会話が成り立たないというか、「グリッドマンは私のものだ!」と一方的に主張をしてくる感じなのはこのためか。
  • また、怪獣発生源の集合体とも説明されるマッドオリジン。胸部の白い球体の集合は、SSSS.DYNAZENONに登場した「怪獣の元」を彷彿とさせる。それを所持していたと思われるシズムとの関連性も気になるところだが、残念ながら本作ではそこまで言及されていない。グリッドマンユニバース2に期待。
  • この戦闘シーンではアカネの「宇宙ごとグリッドマンを返してあげなよ!」と言うセリフが好き。また、アカネが飄々としつつも少し楽しそうに戦っている様子が、トラウマを払拭したようで少し安心した。
  • マッドオリジンのいる空間を破壊するアレクシス。グリッドマンが自由になったシーンの映像があまりにも凄まじく、スケールの大きさを感じられて良かった。
  • そして、「グングンカット」を逆手に取った、宇宙規模のサイズから収縮して本来のサイズ感に戻っていく演出。何度も使われてきたであろうグングンカットにも、こんな応用の仕方があったのかと唸りながら感動した。
  • いよいよ登場したグリッドマンの新形態、「ユニバースファイター」。壮大なBGM"GRIDMAN UNIVERSE"と共に姿を現し、画面?が割れる演出はPVで何度も見たが、改めて劇場で見るとその迫力は圧倒的だった。
  • 宇宙空間で対峙するグリッドマンとマッドオリジン。マッドオリジンの蹴りにビクともせず、強化され虹色になったグリッドビームでマッドオリジンを大気圏まで吹き飛ばす圧倒的な強さは新形態ならではで、めちゃくちゃテンションが上がった。
  • 一方その頃、地球では蓬達がノワールドグマから逃げ切れずにいた所にアレクシスが駆けつける。足元から巨大な頭部が現れる演出は、巨大ロボの登場シーンでお馴染みのカッコ良さだった。
  • 軽妙に飛び回るアレクシスの戦闘シーンもカッコ良かった。腕のニードルをレイピアのように突き刺す戦闘スタイルはグリッドマンやダイナゼノンとはまた違った戦い方で、新鮮だった。
  • そんなアレクシスもノワールドグマの物量に押されて防戦一方。そこに駆けつけるグリッドマンがまあカッコいいのなんの。グリッドビームでノワールドグマを一掃するどころか、同時にフィクサービームを放ち壊れた世界を修復する有能っぷり。ビームを放つ際に脚を少し捻り、ボディが青く染まっていくのもカッコ良かった。
  • まだ生きていたマッドオリジンは「グリッドマンは私のものだぞ」と不可解なことを主張しながら襲いかかってくる。作品世界での意味は未だによく分かっていないが、メタ的な意味ではグリッドマンを私物化(?)してしまいたいと言う製作側の心の声が思わず漏れ出たような感じだろうか?
  • マッドオリジンに気を取られ、六花達に襲いかかるノワールドグマへの対応が遅れるグリッドマン。ここからの展開が、caminoの情緒を完全に破壊する最大の要因となる。
  • 「手が足りないなら、君の頭の中にあるものを使えばいい」と言いながらインスタンス・アブリアクションをするアレクシス。「グリッドマンの中の宇宙を実体化させる」という史上最大規模のアブリアクションに思わずガッツポーズ。主題歌uni-verseの「僕に見せて君の持ってるユニバース」がこのクライマックスに来て効いてきてる。ドミネーション一辺倒でなくアブリアクションも出してくるバランス感覚も好き
  • そして神曲インパーフェクト」にのせて来たるは我らがダイナレックス。SSSS.DYNAZENONが大好きで、主題歌インパーフェクトがありとあらゆる歌の中で最高クラスに好きなcaminoにとって、この演出は「最高」なんて一言で片付けられるものではなかった。この瞬間にもう全ての感情がメーターを振り切り、メーターのバーが根本から折れてしまった。また、冒頭にも述べた通り今回はSSSS.GRIDMAN側がメインになると思っていたので、観劇前は主題歌が流れるとしてもUNION止まりかなと予想していました。なのでここでまさかのインパーフェクトは完全に予想していないサプライズだったので、そういう意味でも嬉しかったです。
  • 嬉しそうにガウマさんの名前を叫び駆け寄る蓬も、それを抱き止める夢芽も、何もかもが最高過ぎた。笑顔で抱き合う2人に心が温かいもので満たされてゆく。
  • 「いつの間にか大変なことになってる」状況に面食らうも、すぐさま「やることは一つか!」とすぐに切り替える暦もかなりメンタル強い。イケボなのも合わさって、このシーンの暦はめちゃくちゃカッコいい。
  • ガウマ隊のメンバーを喰らい、ダイナゼノンへと変形。ちせの「号令」があまりにも熱くて、本当に叫びそうになった。後日、応援上映が開催され本当に叫ぶことが出来たのは最高だった。
  • 熱さのボルテージがここで止まらないのが本作の恐ろしいところ。アンチと怪獣少女がナイトと2代目に「同期」し、ナイトがグリッドナイトへと変身。「余計な真似を……」と言いながらノーモーションで目を赤く発光させ、グングンカットへと移行する演出はあまりにもカッコいい。
  • さらにさらに、2代目が戦艦サウンドラスを召喚するだけでなく、巨大化した挙句変形する戦艦と合体を始めるとは。グングンカットの連続でテンションが上がり、サウンドラスの変形シーンでさらにテンションが上がり、今までサポートに徹していた2代目がついに戦闘に参加するという事実にもうこれ以上ないくらいにテンションが上がった。もうこの作品がすご過ぎて、この感情の昂りを表現する語彙力が完全に尽きてしまった。
  • ここからは映像も凄まじく、サウンドラスの砲撃ラッシュやグリッドナイトの乱れサーキュラー、さらにパワードゼノンの「バトルゴー」など、ただただ圧倒されるばかりであった。こればかりは、劇場で映像を見ていただくしか魅力を伝える方法がない。
  • グリッドマンとアレクシスが背中を預けあって戦っているのも、SSSS.GRIDMAN放映当時からは想像もつかないようなシーンで、もはや感動さえ覚えた。
  • しかしマッドオリジンはグリッドマンと同等の記憶を有しているらしく、今までと同じ戦い方ではまるで歯が立たない。そんな折に聞こえてくるちせの「なら新しい手を使えばいいんすよ!」がめちゃくちゃ心強くて良かった。

  • この後「新しい手」を生み出して勝利するという展開になるのだが、先程の「グリッドマンの宇宙を具現化する」展開といい、人の持つ「無限の想像力」を使って勝利するという流れが本作のテーマ性を綺麗に反映していて、物語の構成としてとても美しいと感じた。
  • そして実際に「新しい手」として使ったのは、なんとちせのボディペイント。ちせの「想像力」でゴルドバーンを強化するという展開がとても良かった。先述の通りちせのボディペイントはSSSS.DYNAZENONの最初の方では隠していたある種のコンプレックスだったわけで、それが中盤で六花から純粋な気持ちで褒められ、ここに来てパワーアップの礎になるという。コンプレックスだったものが肯定される展開はとても、とても良かった。特にこれがちせであるというのが重要で、ガウマ隊でありながら搭乗機がなく不遇な感もあったちせに見せ場というか貢献の場がもらえて救済されたのが良かった。改めて「仲間の力」を意識させられる展開にも取れるのが良かった。また、このタイミングで曲がインパーフェクトからUNIONに切り替わるのも熱くて良かった。

  • その後、マッドオリジンに反撃しながら合体して「新しい手って言ってんでしょ!」と叫ぶ暦がまあカッコいいのなんの。それを引き継いで「新しい脚もあるんだぜ!」と繋げるガウマさんもカッコいいし、何より「新しい翼も!新しい武器も!全て、グリッドマンのために!!」は余りにも熱すぎた。合体している最中にそれを敵が阻止しようと試みるというのはたまに見かける描写だが、合体しながら敵の妨害を跳ね返す今回の描写は見たことがなくて感心した。おまけに文字通りの「新しい手」という言葉遊びも加わり、合体ロボという設定をこの上なく活かした天才的な描写だと思った。

  • こうして生まれたローグカイゼルグリッドマン、合体元のダイナレックスの特徴を引き継いで、恐竜みたいな歩き方したり爪で引っ掻いたりブレイクダンスしたりと、グリッドマンの時のヒーロー然とした戦い方からは想像もつかないようなワイルドさを見せていて本当にカッコ良かった。と同時に、「想像の力」を使って敵の知らない「新しい手」を生み出すというちせの意図した目的にも綺麗に合致しているのも良かった。こりゃマッドオリジンも「こんなの知らないぞ!」ってなるわ。

  • ナイトも負けじとアシストウェポンたちと合体し、フルパワーグリッドナイトへと変身する。先程やった武器交換の合体バージョンといった感じで、オタクワイ歓喜。ボラーが「特別サービス」って言っていたのが良かった。
  • 全員の総力を出し切ってやっと勝利……かと思いきや、マッドオリジンが隙をついてアレクシスを取り込むという暴挙に。無限のエネルギーを奪われ形成は一気に逆転。
  • 第2形態のマッドオリジンは敵怪獣ながらカッコよくて思わず見惚れてしまった。特に黒いボディに青い炎が見栄えがいいだけでなく、温度の高さも表現していて良かった。変身直後にあたりに火炎放射を撒き散らすシーンの迫力は凄まじくて最高だった。
  • 苦戦する一同にグリッドマンが提案するのはまさかのフィクサービーム。修復する力と破壊する力を同時に浴びせるという展開に、厨二心がくすぐられテンションが上がる。
  • 意図を汲み取れず困惑する一同の中、唯一ガウマが「大将が言ってるんだ!」と全幅の信頼を寄せて直ちに行動できるガウマがまーーカッコいいのなんの。最高の男なんすよコイツは。
  • 最後に全員が力を合わせてビームを放つというのは、トリガー作品で何度も見た気がする光景だが、何度見ても飽きない素晴らしさがあった。王道ってそういうものよな。
  • 破壊と修復の力が合わさったビームを喰らい、マッドオリジンの体は破壊と修復が無限に繰り返される。結果、たとえエネルギーが無限であったとしても物質である以上劣化からは免れ得ない。この少し難しそうな話も、本作は鮮やかに説明してみせる。なんて事はない、書いて消してを繰り返した紙が脆くなって最後は破けてしまうのと同じ理屈だ、と。現象の説明として本当に正しいのかは分からないものの、説得力があり、何より冒頭の何気ない日常のシーンをこんな形でクライマックスで活かしてくるというのがもはや天才のそれ。ここまで緻密に組まれた物語ってそうないんじゃないか、と思わずにはいられないシーンだった。
  • 物質としての限界を迎えつつあるマッドオリジンにトドメを刺しに行くグリッドナイト&グリッドマン。ダイナレックスの力を得て加速するグリッドナイトという構図が素晴らしい。マッドオリジンとの真っ向の力勝負には敗れてしまうも、破片を目に突き刺すという形で一矢報いることに成功するグリッドナイト。その隙をついて、渾身の一撃を食らわせるグリッドマン。この一連の流れで、「グリッドマン(ユニバースファイター)>グリッドナイト>ダイナレックス」という強さの序列をつけつつも、きっちり全員活躍させているのは実に見事。
  • 消えゆく刹那、マッドオリジンは問いかける。「一人では何も出来ないのに、破壊と修復の力を持つ、お前は何者か?」と。対するグリッドマンの台詞はとても印象的。これはグリッドマンを演じた緑川光さんも一番印象に残った台詞として語っていたもので、曰く「私は弱い、それが私だ」。自らが弱いと声高に叫びながら敵を撃破する姿は、ヒーローとしては異質でありながら、仲間がいるからこそ強くなれるグリッドマンとしては非常に「らしい」台詞だと思った。一人では実態を形作ることさえ出来ないのに、皆が居てくれることで強くなれるという独特のヒーロー像は、グリッドマンならではの魅力だということを再認識し、自分はグリッドマンという作品が本当に好きなんだな、と改めて実感するのであった。本作のキャッチコピーの「ひとりじゃ無理でも、君となら」が染み渡る。

peaceful universe

  • かくしてマッドオリジンを撃破することに成功したグリッドマンたち。ゴルドバーンと合体して強化したフィクサービームを放ち街を修復していくグリッドマンの姿は、神々しささえ感じさせた。
  • 一方マッドオリジンと共に消滅したかと思われたアレクシス。「限りある命の良さをもっと早く知っていれば退屈しなかったのに」と意味深な台詞を言い残し消滅したように見えるも、そんなにあっさり消えるわけないと懐疑的な新世紀中学生。真相はともかく、グリッドマンと仲間たちがいるから大丈夫、と強く前を向く内海と六花が眩しかった。
  • 本作は、しっかりと別れを出来なかった人たちに別れの場を提供できた点でも意義深い。まずはアカネとアンチ。命を与えてくれたからこそ、素晴らしい景色を見ることが出来たとアカネに真っ直ぐに謝意を述べるアンチに対し、不器用に髪をわしゃわしゃして去っていくアカネ。SSSS.GRIDMAN3話の頃を思うと、アンチが生を受けたことを肯定的に受け止め、それを感謝することができるようまで成長するとはまるで思わなかった。感慨深くて涙なしでは見られないシーン。ところでアンチは、SSSS.GRIDMAN世界で体験したことだけでなく、SSSS.DYNAZENON世界で経験したことも「素晴らしい景色」だと思ってくれているのだろうか。そうだといいな、と思う。
  • もう一つの別れが、蓬とガウマ。前回と違って、ちゃんとお互いが生きておりまた会えるという形でお別れが出来てよかった。「守るべき3つのもの」もちゃんと最後まで伝えきって、満面の笑みのまま蓬に別れを伝えられて本当によかった。蓬とガウマの関係性が大好きな自分は、この描写がされたことを心の底から幸福だと思った。
  • そしてガウマから託されたカニを一緒に食べようと誘う蓬。意味に気付いてから沸騰したような顔になり、消え入りそうな声で「うん」と返事する夢芽があまりにも可愛過ぎた。どうか末長くお幸せに。
  • 最後に、グリッドマンと同盟の別れ。お互いにいつでも頼って欲しいから、「さよなら」じゃなくて「またね」なのが本当に良かった。視聴者目線でも、またグリッドマンユニバースの作品が見られるといいなと思った。
  • 実写世界のアカネの姿も描写される。何かの行事でゴミ拾いに来ているのかな?ちゃんと友達と仲良く出来ているようで安心した。最後に「資源を大切に」的な看板が大写しになるのがちょっと気になる。何かのメッセージだったりするのか?(たぶん深読みしてるだけ)
  • 皆がそれぞれの日常に戻ってゆき、いよいよ文化祭の場面へ。演劇をやっている教室の前にある看板には「ラスト1分で全てが変わる」という案内が。もしかしてこの映画も……?と少し期待を抱いてしまった(ある意味当たってるわけだが)演劇のタイトルがまんま「グリッドマンユニバース」なのも良かった。
  • 内海がグリッドマン役を演じることで、「グリッドマンになる」という長年?の夢を間接的に叶えているのが微笑ましかった。マッドオリジン役の子がずっこけて舞台のセットを壊してしまうハプニングや、それをアドリブでなんとかカバーしている様子や、それを見て大笑いしてる裕太や、微妙な反応をしている六花ママやなみこ、全てが愛おしく思えた。これも大団円で終われたからこそ。
  • 夜になり、後夜祭のステージ?を眺める裕太と内海。ある「決意」を告げる裕太に、後押しする内海がマジで良い。本当に良い友達を持ったな、裕太……
  • 意を決して六花に話しかける裕太。よく見ると横にいるなみこプイッと顔をそらしているのがちょっと可愛い。
  • お祭りの熱気から解放され思わず「外涼し〜」と呟く六花。アイス買う時と似たような台詞を言わせてるのは、偶然か、それとも意図したものか。
  • 文化祭の後の独特な空気感の中、校舎の中を歩く2人。先を行く裕太の背中を眺める六花の眼差しがどこか優しげに見えたのは僕の気のせいだろうか。この辺のシーン、あえてBGMを鳴らさず静かな校舎の中でヒソヒソした話し声や環境音だけにしているのが、雰囲気が出て非常に良い。
  • 例のチケットを買ったスペースに出て、歩みを止める二人。こういう日常のさりげないシーンでも、凝ったカメラワークを使っているのが好印象。
  • 初々しい二人の会話。時期を逃していた、遅い、でもそれで良かった。きっとまだ「賞味期限」は切れていなかったのだろう。ようやく結ばれ、歩み寄る二人。ドラマチックなキスシーンでもあるのかと思えば、恥ずかしさのあまり二人して身悶えしてしまう。世界の危機に真っ先に駆け出して二度も世界を救った彼だけど、なんて事はない、「普通」の高校生だったのだ。
  • ここでエンドロール。主題歌uni-verseの歌詞だけでもいくらでも語れそうだが、ここではあえて一言。サビの「さあ顔を上げて僕に見せて君が持ってるユニバース」のフレーズは、「人の持つ想像力の礼賛」というテーマにぴったりハマっていて、流石オーイシマサヨシだと深く感心した。
  • エンドロール明け、麻中家で夢芽も交えて蟹鍋パーティ。ただでさえ息子の彼女が来て気まずい所に、手元で作業をするため無口になりがちな蟹料理。やけに静かな食卓がシュールで可笑しかった。そんな中で本作を最後に締めるセリフが「普通」。これだけ最高の作品を見せてくれた挙句、最後が「普通」かよ!と思わず心の中でツッコみながら、笑って観劇し終えることができた。それにしても、作った作品の最後にあえて「普通」と言わせるなんて、よほど自信がないと出来ないよな……。それだけ胸を張って見せられるだけの作品を作れるなんてすごいというか、そんな熱量のこもった作品を届けてくれてありがとうというか、色んな思いに包まれるエンドでした。

最後に思うこと

思えば本作には、ありとあらゆる形の「創作(フィクション)」が登場する。冒頭の裕太のお絵かきに始まり、ヒーローショーや舞台、演劇とその脚本、果ては実写映像や漫画まで登場する。これだけ幅広い形の創作形態を作中に出した上で、怪獣少女に「(人間は)虚構を信じる力を持った唯一の生命体」「フィクションを信じる力でコミュニティを拡大してきた」とまで言わせている。その上で、最終盤では皆の想像するグリッドマンの姿からユニバースファイターの姿を獲得したり、グリッドマンの頭の中の宇宙を具現化したり、ちせのボディペイントを実体化したりと、「想像の力」を使って勝利する描写もされている。さらに、上でも述べた通り主題歌uni-verseでは「さあ顔を上げて僕に見せて君が持ってるユニバース」と歌われている。

これらの一貫した姿勢は、ありとあらゆる形での創作行為、そして生み出されたフィクションを信じることを強く肯定するメッセージであるように感じられた。人間に備わった想像力という力が持つ無限の可能性を、強く賛美するメッセージとも取れた。こういう肯定的で愛に溢れたメッセージに、自分はとても感銘を受けた。

自分は何か物事を空想するのが好きだし、他の人の空想を見るのも好きだ。それはゲームだったり、アニメだったり、漫画だったり、小説だったりする。要はオタクなのだ。そういった自分の在り方を、この作品はこれ以上ない程に力強く肯定してくれた。そんな作品に巡り会えて本当に良かったと思う。この作品の制作に携わった全ての方々、「空想という名のビッグバン」を起こしてくれて、本当にありがとうございました。また、一緒にこの作品を一緒に応援しているファンの皆様も、ありがとうございます。劇場という同じ空間で作品を共有したり、応援上映では声を出し合ったり、時にはグリッドマンワールドで見ず知らずの自分に声をかけ、写真を撮ってくれたりしてありがとうございました。きっと皆さんの「フィクションを信じる力」があるからこそ、制作陣の方々もこんな素晴らしい作品を生み出すことが出来たのだと思います。

人間の持つ「想像力」の可能性に思いを馳せながら、この辺で筆を置こうと思います。2.5万字近くの尋常じゃなく長いこの記事を最後まで読んでくださって、ありがとうございました。