だいぶ間が空いてしまいましたが、SSSS.GRIDMAN11話と12話の感想です。
ネタバレ注意です。
11話「決・戦」
- 10話の衝撃的な引きからの続き。
- 垂れた血がアカネの足元に滴るカットは、2話で先生とぶつかった時のトマトジュースを彷彿とさせる。このアニメ、こういった回を大きく跨いだ伏線が多くて好き。
- アカネの眼がぎょろっと動くの好き
- 悲痛な面持ちで「でもこうするしかないじゃん!!」と叫ぶアカネ。彼女をここまで追い詰めているのは何なのか。
- いつになくキツい声で「アカネ!」と呼び止めたり「救急車早く!」と叫ぶ六花の緊迫感のある声GJ。
- それに続き「大丈夫だよな……ねえ裕太!」と震え声で叫ぶ内海の声も焦ってる感じが伝わってきて良い。
- OP映像。アンチくんがグリッドナイトになってたり、落ちるカッターが血で染まっていたりビクッとくる要素がてんこ盛り。
- 意外と命に別条はない模様。本気で安堵する様子の内海の演技が上手
- 電話もネットも通じない。第3回のキャリバーの「電話は命をつなぐ」がこんなところにも効いてくる。
- とにかくじっとしてられないタイプの六花さん。とりあえず体が先に動いてしまうのは本人も自覚してる模様(ボイスドラマより
- 最初の方の回で印象的に映されていたやけにリアルな張り紙の上にさらに非日常的な張り紙が。
- だんだんアカネに対する苛立ちを隠せなくなってきてるアレクシス。この最終盤になっても彼の目的が読めないが……?
- 「何もできないから、何もしないつもりか」とズケズケと入ってくるアンチくん。
- 内海だけがその存在を知らなかったアンチくん(人間態)。一般人代表として怒りをぶつける内海に対しアンチくんはひたすら無関心。その様子が余計内海の怒りを買ってしまう。
- 思わずグーパンしようとするも、六花に止められる内海。ふと思い返し、特撮オタクとして内心楽しんでしまっていたことを思い出し、素直に過ちを認め、振り上げた拳の行き先を自分に持っていく。とても高校生とは思えないくらい大人な対応。
- アンチくんが走りながらグリッドナイトに変身するのかっこいい
- 人間態の時の低めのテンションは何処へやら、ノリノリで技名を叫びながら怪獣相手に無双するアンチくん。今回の怪獣は急造品だったから以前のより弱かったのかも?
- ↑のようにただでさえ情報量の多い構図の中、走りながら裕太が目覚めない理由について考察を深める新世紀中学生たち。鍵はジャンクにあり!
- マックスさんの「では時が来たら(ジャンクを)いただきます」はいずれ回収される伏線なのかな?
- 六花さんの「私行かなきゃ」発動。何回目やねん。
- 先のアンチくんの件で覚えた疎外感を引きずってるのか、パッとしない表情で「俺は裕太の横にいることしかできない」とこぼす内海。いや、それが友人にしかできない、一番大切なことなんだけどね。記憶喪失してからの裕太と一番長い間一緒にいて、心の支えになっていたのは紛れもなく内海なわけだし。
- そして裕太の心の中のシーン。グリッドマンの「……君が私だから」の一言はいい意味でゾクゾクしましたね。
- 「どうして裕太に宿ったんだ?」「彼だけが新条アカネの世界で……」
- 画面に表示されるSSSS.→OK。これは何を意味しているのだろう?
- 合唱曲believeと共に流れる裕太のグリッドマン宣言。グリッドマンだったことを思い出したことで、気弱な印象だった裕太の声に徐々に力が篭っていくのを感じる。声優の力すごい
- そして裕太の台詞にグリッドナイトの戦闘シーンの映像を被せてくる。この情報詰め込んでる感好き。
- 「ごめん……内海。『私』は行かなければならない。」「お前なんかキャラ違うぞ!」「そうかもしれない。『私はハイパーエージェント、グリッドマンなのだから。』」の一連のやり取りが見てて鳥肌たった。こういう演出の巧みさはトップクラス。
- 声や喋り方が徐々にグリッドマンっぽくなって、最終的に二人の声が重なる演出と演技力にまず心打たれる。
- 次に「お前なんかキャラ違うぞ!」も1話にあった台詞の再来。なんども言うけど、回を何話も跨いだ伏線が本当に上手。
- 裕太の身を案じるも結局グリッドマンを止められない内海。自らの無力さに打ちひしがれる様子はいたたまれない。
- 六花ママの「気にしないで続けて続けて」の前後の妙な間が笑える。そのあとのはっすの「あら素敵」とか言う妙に冷静なコメントもじわる。
- それにしてもこれだけの異常事態にも関わらず冷静さを失わない六花ママにはある種の貫禄を感じる。その後の優しく見守るような「行ってらっしゃい」にも、なんかこう、「母の愛」めいたものを感じる。
- 一方で放浪するアカネが辿り着いたのはバスの「終点」。「夢でもいいから」六花と一緒に行きたかったのはここなのだろうか。
- 「早く私を殺さないからこんなことになるんだよ」と半ばやけばちで極論を振りかざすアカネ。
- 裕太の生存を知り、焦りとも恐怖ともつかない複雑な表情を浮かべるアカネ。
- ひたすらに六花を拒絶しようとするアカネ。その迫真の演技から繰り出される刺々しい言葉の数々に聴いてるこっちまで苦しくなってくる。
- 言葉とは裏腹に、「アカネは私のこと、どう思ってるの?」に対しフラッシュバックする六花との楽しい思い出。
- 振り返るとそこには突如として立ちはだかるアレクシスの姿が。「どうでもいい」と強引に二人の会話をぶった切る。
- そして「君自身が怪獣になればいいんだよ」ときた。アカネが怪獣になる展開はもしかしたらあるかも、とは思ってはいたが、まさかこのタイミングとは。
- インスタンス・アブリアクションの赤い光の中、目を見開くアカネのカットで11話は終了。何度も言ってる気がするがこのアニメ、引きがうますぎる。
最終回「覚醒」
- ここにきて第1回タイトル回収。激アツ。真ん中の・がなくなったのは裕太とグリッドマンの統合を意味してるのか?
- オープニングのラストのアレと思しき怪獣がついにお目見え。硬い外殻は閉じこもったアカネの心を表しているかのよう。
- ナイト爆裂光破弾!と相変わらずノリノリのグリッドナイト。
- 「はい!でも今はハイパーエージェント、グリッドマンでもあります!」とやけにハキハキした口調の裕太と、よくわかんないけど「うん分かったぁ!」で済ます六花ママのやり取りが笑える
- 借りは返せよ、とアンチくん。「借り」に拘るのはキャリバーさんの教育の賜物?
- アカネ怪獣の咆哮が「いやああああ」と言ってるように聞こえてならない。
- 「お前は怪獣じゃない……『新条アカネ』だ!」。新条アカネに怪獣として作られたものの、最終的に生物となったアンチがこれを言うのがグッとくる。
- 戦闘を眺める六花とアレクシスからズームアウトしつつ戦闘を細切れに映し、六花とアレクシスの会話を聞かせる演出が良い。特にアレクシスの声の演技が良かった。さすが稲田さん。過去になんども特撮の悪役を演じていただけのことはある。
- 六花を迎えにくるグリッドマン。自信に満ち溢れた声と表情が素晴らしい
- なんとかアカネのコアを引き摺り出し侵入するアンチ。その時のキャリバーの応援がグリッドナイトに対してではなく、「頑張れ、『アンチ』」なのがいい。
- 六花を引き連れ今度は内海の回収に向かうグリッドマン。「グリッドマン同盟はどこ行ったんだよ」「ジャンクの前には『みんな』が必要なんだ」などの台詞が熱い。
- 問川をはじめ、今まで殺してきた人たちの顔を無情にも見せつけてくる謎の「白い手」。罪悪感にがんじがらめにされ、アカネは心までも身動きが取れなくなっているのだろうか。
- ついにアンチによって救い出されるアカネ。憎まれ口を叩きつつも、声のトーンはなんだか嬉しそう。声優GJ。
- 幸せも束の間、もっとも望まない形でアカネの願いを叶えるアレクシス。悪役の鑑。
- アカネを取り込み巨大化するアレクシス。「情動」を糧にしていたことが明かされる。
- 一方グリッドマン同盟。空間に格子状に光が走り(これ視聴終わった後でも演出意図が分からない。きになる)、新世紀中学生の皆にアクセプターが。
- そしてなんとアンチにもアクセプターが。消え入りそうな声でなんとか「アクセスフラッシュ」を唱えたが……?
- ここにきてアクセスコード。内海が気づき、六花が入力。そしてSSSSの回収。最終決戦に向けての盛り上げ方が素晴らしい。熱い。
- 拘束具のようなものが外れ、特撮版の真の姿を見せるグリッドマン。特撮版からデザインを変えていたことにこんな意味があったとは……!
- 満を辞して流れる特撮版のOP、「夢のヒーロー」をバックにめくるめく超スピード、超スケールの戦闘。このシーンの作画の動きの切れ味は癖になる。
- トドメを刺したかと思いきや、「フハハハハハ」といい声で即座に復活するアレクシス。
- 極上の戦闘シーンを背景に語られる、アレクシスの無限の命、虚無感、情動への渇望。そしてアカネを利用するに至った経緯。説明台詞を戦闘と被せるのは退屈しなくて良い
- 「いつかくる終わりをここで君にあげよう」とかっこいい言い回しと共に放たれるアレクシスの攻撃を喰らい、一気に窮地に追い込まれるグリッドマン。吹っ飛んだ衝撃で胸のパーツから零れ落ちる煌きから、「何か」を思い出す。
- 特撮版ではコンピューターワールドの修復に使っていたフィクサービームを、相手に向けるという逆転の発想。この辺からもう演出の上手さとかカッコよさとかカタルシスとかで涙がドバドバ溢れ出してくる。
- 追い討ちをかけるように、アカネの心理世界に入ると共に切ない曲調のアレンジへと変化する「UNION」。
- 「私に……広い世界なんて無理だよ……」の涙声な感じの演技本当に上手い。
- フラッシュバックする「友達」との思い出。ようやく自分の意思で「元の世界」に帰ることを決意し始めるアカネ。
- 「私の……場所に!」でついに扉を開けるアカネ。扉の向こうから光が差し、次いでアレクシスがひび割れる描写。そしてここからUNIONの曲調が元に戻り始める、と言う演出のテンポがめちゃくちゃいい。めくるめくカタルシスの嵐。
- 広がる「再生」の爆発。修復されていく世界。さらに世界は修復されるだけでなく、ツツジ台の外へ、地球全体へと広がっていく。そして昇る太陽。最高の構図のカット。
- 戦いは終わり、「引越し」のシーン。
- 「私は卑怯者なんだ。」「私は臆病で、ズルくて、弱虫で……」この辺の台詞が旧劇エヴァのシンジくんとシンクロしていて、エヴァオタ的には感無量だった。
- 泣きじゃくりながらもしっかりと謝罪の言葉を口にするアカネ。
- 最後の最後に出てくる定期入れ。「どっか行っちゃえってこと?」といじけた返答から、現実世界でうまく行っていなかったことがそれとなく伺える。
- 「だから神様、どうかお願いを聞いてくれませんか」「『私はアカネと一緒にいたい。』どうかこの願いがずっと叶いませんように」 この言葉のなんと優しく、切ないことか。アカネのことは好きだけど、でもアカネ自身のためにもどうか現実世界で頑張って欲しい、と言う六花の気持ちが伝わってくる。
- 顔をあげたら、そこには六花1人。二度と会えないと決まったわけではないけれど、切なく悲しい別れ。
- そしてグリッドマンともお別れ。「裕太によろしく」と言いながら内海に何かを手渡すグリッドマン。
- 記憶はなくとも体が覚えているだろう、とグリッドマン。
- 憎まれ口を叩きながらいつものように足を小突こうとするボラー、対しそれを軽々と躱す内海。そして二人向き合って「ヘヘッ」と軽く笑う。最高かよ。
- そしてキャリバー。本作のコピーでもある、「一人ではない」を改めて強調。そしてそれは新条アカネも同じだと言う。新しい世界でもうまくやっていけるのだろう。
- 本当に信頼できる友達を持つことの大切さを「改めて」思い知ったと語るグリッドマン。前作の記憶もちゃんとあるようで何より。
- 大団円の中ハイパーワールドへ帰っていくグリッドマンたち。ただ、アンチは着いてこないようで。「借りを返せなくなった」。
- そしてエンドロール。1話冒頭と同じ、変わりない日常の音、風景。
- でも季節は過ぎ、裕太の両親も旅行から帰宅。夏で止まっていた時間がやっと動き出す。
- そして内海の手のひらの上のビー玉の描写。やはり最後にグリッドマンから託されたのはこれだったのだろうか。全編に渡り何かと画面に映り込んでいたこのビー玉。その意味するところを考察するのも楽しいだろうが、純粋にオブジェクトとしての存在感も良かった。ただそこにあるだけで、普通の風景に少しアクセントが加わる感じ。
- 結局最後まで明言はされなかった「グリッドマンが裕太に宿った理由」。作中で語るのは野暮なのだろうが、六花のリアクション的に、「皆がアカネを好きになる世界で、唯一六花を好きになった」とかそんな所だろうか。
- 雪と共に流れ出すBelieve。そしてグリッドマンの抜けた、目の青い裕太が「覚醒」する。
- そしてここに来てのアノシラス。「命の恩人」と言うことは、アレクシスに刺されたアンチを介抱でもしてあげたのだろうか。
- アンチの目に巻かれた包帯が落ち、一瞬映る眼。そしてタイトル「覚醒」。この辺の演出のテンポ感は最後まで最高のセンスだった。
- なんと実写。現実世界で「覚醒」するアカネ。特撮作品のアニメ化と言う作品の構造そのものを逆手に取り、作中での「コンピューターワールド」と「現実世界」を「アニメ」と「実写」で描き分けるとは。最後の最後まで演出の秀逸な作品だった。
いやー、本当に素晴らしい作品だった。
ここまで一つのアニメにのめり込むのは久しぶりだ。次の放送までに最低2回は見返す程のハマり方をしたのは本当にいつ以来だろう。
でもここまでハマっておきながら、不思議なことに「グリッドマンロス」という感じはしないです。それよりかは「また周回したい!しなきゃ!(使命感)」といった感情の方が強い。それは恐らく、この作品が非常に濃厚で多くのものを詰め込んだ作品だからだと思います。最後の真相を知った上で見返すとまた新たな発見がありそう。そんな予感がしている。
最後にオープニング曲UNIONについての言及を一つ。
「君を"退屈"から救いに来たんだ」
という歌詞がありますが、これは結局どういう意味なのでしょうか。ふと頭をよぎった解釈の一つとして、「退屈=アレクシス」というものがあります。永遠の命を手にし、虚無へと陥ったアレクシス。彼の覚える感情は紛れもなく「退屈」でしょう。いや、もはや彼は「退屈」という概念そのものかもしれません。そう考えると、この歌詞はまさに「新条アカネをアレクシスから救う」というSSSS.GRIDMANのストーリーそのもののように思えてなりません。
さて何とか「各回ごとに感想を書く」という勝手に自分に課したノルマも、最終回まで書き上げたことで無事達成となりました。作品全体に対する感想を語ることはあっても、全話について個別の感想を書くということはcaminoは今まであまりしてきませんでした。それでもなおこんなことをしようと思ったのは、SSSS.GRIDMANという作品が持つ魅力が、心を揺さぶってくるエネルギーが他の作品と比べ物にならない位凄まじかったからです。忙しい時期もあり特に今回の11,12話の感想は遅れに遅れてしまいましたが、無事こうして書き上げることができて良かったと思います。これからも恐らく何度もこの作品を見返し、その度にまた言いたいことも出てくるでしょう。ですが、SSSS.GRIDMANについて語るのは一旦この記事でやめにしましょう。長々と書き連ねてしまいましたが、ここまで読んでくれてありがとうございました。別の記事でもまたよろしくお願いします。
(余談)
特撮の方の「電光超人グリッドマン」も現在16話まで見ています。面白いです。