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caminoのnoteでcaminote(カミノート)。日々の思いをつらつらと。

徹頭徹尾バーニングカーニバル!PROMARE🔥🔥🔥

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プロメア!!!

見てきました!!!! ( クソデカ大声 )

プロメアとは?

冒頭から絶叫してしまい大変申し訳ありませんでした。

一応ご存知ない方のために、軽く説明。
『プロメア』とは昨日から公開が始まったアニメ映画です。
製作は『天元突破グレンラガン』、『キルラキル』などなど数多の名作を世に放ったアニメ会社「TRIGGER」。厳密にはグレンラガンはトリガー作品ではないが
熱血な作風で知られるトリガーの中でもとりわけ熱い作品 ( 上記の2作品 ) を作り続けてきた今石監督と中島脚本のタッグが繰り出す完全新作がこの『プロメア』です。

前作のノリや軽いオマージュこそあれど、予備知識は一切不要。熱い作品に抵抗がないなら万人にオススメできるアニメです。

ネタバレなし感想

映像

映像のクオリティは当然のようにぶっ飛んでいました
トリガーは過去作でも激しい動きを描いていましたが、今作は遥かその上を行き、しかも「綺麗」でした。
「綺麗」さと言う点で特筆すべきはポップな色合いと、独特な「炎」の表現でした。

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本作のキービジュアル。独特な色使いが目を引く。

本作の「炎」の描き方が独特だと感じたのは、

不定形ではなく三角形の集合として描かれていること

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タイトルロゴで散ってる三角形が印象的。

②赤ではなくマゼンタのようなピンクをベースに様々な色彩を帯びていること

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カラフルな「炎」。こんな表現見たことない。

の2点においてです。

ちなみに「炎」の表現についてはこちらのインタビュー記事が詳しかったので、該当箇所を引用しつつリンクを貼っておきます。

『プロメア』の印象に残るグラフィカルな火炎エフェクトは、金田伊功という特異なアニメーターの手描きによる(個人の職人技ゆえに量産も難しかった)スペクタクルシーンを、3DCGを担当したサンジゲンがデジタルの力を駆使し、その旨味を残しつつ要所要所に盛り込むことで作品のダイナミックさに貢献している。

jp.ign.com

音楽

本作の劇伴を担当するのは、『ガンダムUC』や先述の『キルラキル』など数多の作品で有名な澤野氏。
テンションの高い曲からちょっとしんみりする曲までよりどりみどりな中でも、独特の「澤野節」は健在。実は彼のプチファンであるcamino的には大満足な出来でした。
とりわけ良かったのは本作のメインテーマとも言うべき曲、"Inferno"。盛大なコーラスが印象的なこの曲、個人的な第一印象は「祭囃子」でした。要所要所で流れるこの曲のおかげで、なんだか炎のお祭りに参加しているような高揚感が得られました。

そしてもう一つのメインテーマと言えるのはSuperflyによる主題歌、『覚醒』。 
ギターがかっこよく響きとにかくテンションの高いこの曲、本作の熱い戦闘シーンとの相性は抜群。熱くカッコいいシーンで惜しげも無くこの曲を使ってくれたので、見てる側も熱いテンションを維持しながら燃え続けることができました。

ネタバレなし総評

とにかく突き抜けた映像に、相性抜群のカッコいい音楽。そしてスカッと爽快な物語
いわゆる「鬱展開」やエログロの類はほぼ皆無で、子供から大人まで万人に勧められます。誰もが爽やかに燃えられる、熱い炎のお祭り。そんな感じの映画です。
爽やかな「完全燃焼」で、暑さも吹き飛ばしましょう!ぜひ劇場へ。

 

ネタバレあり感想

ここから先の感想はネタバレありです。
未視聴の方はすぐに引き返してください。

設定

この作品が真の姿を見せ始めたのは、氷の湖が溶けて地下の研究施設が露わになったシーンだと、個人的には思っています。
ぶっちゃけ「ガロとリオが最初は対立するものの中盤で和解し、真の敵であるクレイ・フォーサイドを倒すため力を合わせる」と言う筋書きはPVを見た時点で大体読めてて、実際作品の展開もその通りに事が進んでいました。
予想外の展開になったのは上述のシーンからです。公式ページで一応存在は語られていたものの、存在感が薄く正直すっかり意識の外にあったデウス・プロメス博士。
そして博士の口から語られる衝撃の真実の数々。「設定」という意味で印象的だったのはやはり「プロメア」の正体。単に「抑圧された感情の噴出」を象徴するための舞台装置としか思っていなかった「炎」に「並行世界の炎生命体のエネルギー」と言う意味合いを持たせたのは実に上手いと思いました。 ( タイトル回収も熱い。 ) その設定のおかげで終盤の鍵を握る「ワープ技術」にも説得力が出てきます。

SFオタク的にグッとくる設定だったので、視聴中思わず ( やってくれたねぇ。 )と心の中で呟きながらニヤついてしまいました ( キモい ) 。

後半の展開と過去作のオマージュ

先述の通り前半は予想通りの展開で、どちらかと言うと映像や音楽のすごさを楽しんでいました。先ほど言ったように、物語的に面白くなってくるのはデウス・プロメス博士が出てくるシーンから。

ぼんやりと「悪いヤツ」という認識だったクレイが、過去にデウス博士を殺害した挙句、博士の成果を我が物として出世していくと言うとんでもないゲス野郎だった事が明かされるシーンはやはり衝撃的でした。戦闘シーンが炎と消火の応酬だったため流血シーンがなく、作中で唯一血が出たのがこの銃殺シーンだった、と言うのもクレイの邪悪さを印象付けるのに効果的だったと思います。

一方、その直後にまさかの巨大ロボが出てきて、しかもその名前が「デウス・エックス・マキナ」と来たのは流石に笑えました。この落差の激しさたるや。
対するクレイもクレイで、司令室が変形して大型ロボットになり、挙句の果てに得意顔で「移住先の惑星のテラフォーミングのために」などと一々理由を解説しながら次々と武器を披露し始める。 ( あ、作り手のオタクこう言うの好きなんだな、わかるわかる )と共感しながらも、やり過ぎなくらいぶっ飛んだ趣味全開モードにまたまたニヤつきながら見てました。作り手の「好き」の振れ幅がぶっ飛んでる作品は本当に良い。
しかもロボ同士の戦闘が終わったら今度はドリルと来た。やっぱグレンラガンのチームなんだなぁ、としみじみと込み上げてくるものがありました。

キャラクター

キャラクター同士の関係性と言う意味で特筆すべきは、やはりガロとリオの掛け合いでしょう。
デウス・エクス・マキナ改め「リオデガロン」。野暮ったいフォルムからリオの力を借りてグレンラガンのようなカッコいいスタイルに変わったロボ。左右で赤 ( リオ、炎 ) と青 ( ガロ、火消し )と色が分かれており、相反する2つの属性が1つの機体に融合しているデザインがとても良かったです。
さて搭乗した2人はというと、ガロは「ダサい」「マトイが無いと力が出ない」などとワガママを言い、リオは呆れながらも炎の力でガロの望みを叶えていました。かつて敵同士だった2人が1つの機体に乗り、こんな微笑ましいやり取りをしているのです。可笑しいやら熱いやらで、見てる側も感情が迷子になって大変でした。

一方で敵役のクレイも負けてはいません。
ロボでの戦闘シーンのあと生身のクレイと対峙する場面がありますが、その時クレイがバーニッシュであった事が本人の口から明かされます。さらには、クレイはガロを救ったわけではない事、たまたま自分が出した炎で燃える建物から出てくる場面に居合わせただけだった事、そして自身の「名誉」のためにガロを救い出した体を装い、その上「死亡率が高い」と言う理由でガロをバーニングレスキューに配属させた事……。こうしたエゲツない悪行の数々が明らかになります。そしてこれらを語る時の中の人 ( 堺雅人さん ) の声の演技が壮絶。普段の穏やかそうな声と打って変わって、眼を開いて本性を露わにした後の声の「凄み」は恐ろしいものがありました。名演どころか怪演と言えるでしょう。震え上がった……
そしてクレイをこれだけ徹底的に悪役として描く事で、それさえも救うと宣言するガロとリオの信念の強さが対比的に描かれているのがまた上手です。

ここで再びガロとリオの話に戻ります。対立する二人が最終的に手を取り合えたのは、「クレイのような邪悪な存在でさえ救う」、裏を返せば「無闇に人を殺さない」という信念を二人が共有していたからだと思います。
初めにこの話が出たのは、序盤の脱走したリオとガロが洞窟で対峙する場面です。

バーニッシュは無闇に人を殺さない。それはバーニッシュの「誇り」だ。

リオはガロにそう告げました。 ( うろ覚えなので細かい表現が微妙に違うかも
その言葉はバーニッシュも人間であり、他人の命を尊重しているのだ、ということを端的に表しています。食事をしたり弱っているバーニッシュが死んで灰になったりするという直接的な描写もありましたが、ガロがリオを認めるようになった最初の契機はこの言葉にあると思います。
マッドバーニッシュはもっと理性の欠けた暴走集団で他人の命など御構い無しな存在だと予想していたため、視聴者の視点としてもこのセリフは意外だったため印象に残りました。
このような理性的な信念があるからこそ、中盤に竜の姿で暴走するリオのシーンが引き立っていました。弾圧を受けながらも不殺を貫く紳士的なリオが我慢の限界に達して怒りを爆発させるあのシーン。燃え盛るリオの怒りの炎がこれでもかと映像に詰められていて、主題歌の『覚醒』も合間って恐ろしくも鳥肌立つほどカッコいいシーンでした。平時は理性を保ちつつもこんな風に時折取り乱してしまうリオに対し、ガロが「人をむやみに殺さないのがバーニッシュの誇りなんだろ」と諭すシーンが何回かありました。ガロがリオの信念を認めた上で、リオを正しい道へと戻さんとする思いが伝わってきて込み上げてくるものがありました。

後半にも二人の絆が生かされているシーンがいくつもありました。その一つが、プロメトリックエンジンのコアとして捕らえられたリオをガロが救出するシーンです。身に纏ったリオの炎に守られクレイの吐く炎をものともせず、クレイをぶん殴るガロ。スカッとしますね!そしてガロは宣言します。

俺は助けるぜ、リオも、地球も、あんたもな!

無闇に人は殺さないというリオの思いと共鳴した、ガロの「全てを助ける」という思い。PVで何度か聞いていた台詞なのに、改めて劇場で聞くとさらに痺れましたね。

そして極め付けは、ガロが灰になりかけているリオに炎を「人工呼吸」するシーン。リオのルックスも合間ってちょっとキケンで、かなり意外かつ衝撃的なシーンでした。それでいて単に衝撃的なだけでなく、序盤の洞窟のシーンが生かされていたのが実に巧みでした。

ラストシーン・テーマ性

ガロとリオ。二人の絆が完全に強固なものとなった時、物語は最終局面を迎えます。
死の淵から這い上がったリオは、ガロにこう告げます。

だったらいっそ、地球を燃やし尽くそう

劇場でこの言葉を聞いた時、いい意味でゾワッときましたね。
ああ、これからとんでもないことが始まるんだな、と。期待で全身が震えました。

そして話としてもバッチリ筋が通っていたのがすごい所です。 
並行世界の炎生命体であるプロメア。彼らは「不完全燃焼」だから満足せず、延々と火を吐き続けていた。ならば「完全燃焼」させてやれば良い。
一方で、燃えるだけではいけない。必ず「鎮火」する人間が必要だ。他者を傷つけまいとする意志が必要なのだ。
つまり心置きなく燃え盛るリオと、燃えた後は必ず消してやる、と背中を支えるガロ。この二人の意志がプロメアと共鳴すれば、プロメアは満足し元の並行世界へ帰っていく。これが出来るのは、相反する意志を持ちながら互いを絶対的に信頼しあう2人、ガロとリオの他にいません。これはまさに、

燃えて消すのが火消し魂だ!

ですね。

この最終盤にきて、一見矛盾してるような「炎上」と「鎮火」が綺麗に結びついたのには思わず息を飲みました。さあ、後は燃えるのみ!
こうなった後のシーンのカタルシスはもう極上の一語でしか表せません。今まで ( 燃やしちゃいけない……燃えしちゃいけない…… ) と抑圧していたものを一気に解放!星ごと、いや宇宙ごと燃やし尽くそうぜ!と言わんばかりに燃え盛るその様は、まさにバーニングカーニバル。水と炎が混ざり合ったような「熱くない炎」で世界は包まれ、鬱屈とした思いを全部まとめて洗い流します。

抑圧された「不完全燃焼」では中途半端に燃え続けてしまうから、いっそ突き抜けて「完全燃焼」して、燃えた後はしっかりと鎮火しよう。というこの展開から読み取れるメッセージは、現代において示唆的なテーマ性を孕んでいるように思えます。
ちょっとでも反感を買うようなことを言ったらすぐに拡散+炎上で袋叩き。だからブスブスとした「不完全燃焼」でチビチビと発散するしかないけど、それでも不満は積もりに積もる。それならいっそ多少の喧嘩や対立も辞さないくらい「完全燃焼」してパーッと燃え盛り、燃え切った後はしっかり鎮火して仲直りしよう。そんな爽やかなメッセージ性を感じ取りました。キャッチコピーが世界大「炎上」なのもそんな意図があってのことでしょうか。

上に書いたのは全部想像でしかありませんが、そんなに外れた解釈ではないと信じています。そしてその熱いメッセージは、感情を抑圧して鬱屈としがちな現代人に明るく爽やかな希望の炎を灯してくれる、素敵なものだと思います。


長くなりましたが以上です。
作品の持つ圧倒的な熱量に浮かされてつい熱っぽく語ってしまいましたが、いかがでしたでしょうか。

まだ6月にもなっていないというのに、最高気温30度を超える日々が続きそうです。そんな熱くて気が滅入りそうな日々も、もっと熱い火消し魂を胸に乗り切っていきましょう!

ではでは。