今更、と言う感じですが「シン・ゴジラ」の感想です。
もうゴリゴリにネタバレの嵐な上に見てる前提で書いてるので覚悟してね。
なぜこのタイミングなのかというと、この間WOWOWで再放送しててそれを見ながら感想を書いたので、折角だから体裁を整えて記事にしてみようと思ったからです。
視聴しながら書いたものなので劇中の時系列に沿って箇条書きな感じです。
- 最初にBGM"Persecution of the masses"が流れるまでの流れ
- BGM"Persecution of the masses"が流れている最中
- BGM"Persecution of the masses"が終わった後
- ゴジラが最初に二足歩行を開始したシーン(BGM"ゴジラ上陸/「ゴジラ」/進化")
- BGM"Under a Burning Sky" (1回目)
- BGM"Early morning from Tokyo"
- 瓦礫のシーン
- 泉登場
- 巨災対結成(BGM"EM20_rhythm_GZM/組織結成")
- 放射能との関連が疑われるシーン
- 米国の登場
- カヨコと巨災対の対面
- 矢口プラン
- ゴジラ再上陸
- ゴジラへの攻撃、タバ作戦
- 大田区、世田谷区への侵入
- 米軍の攻撃
- ゴジラ停止
- 巨災対再集結
- 核の使用
- 核vs凍結
- 折り紙
- 米軍との共同作戦
- ヤシオリ作戦
- 終わりに
最初にBGM"Persecution of the masses"が流れるまでの流れ
初っ端から庵野フォントのラッシュはズギューンときた。
さりげなく初っ端から遺留物の折り紙とかの伏線がすごい
ニコニコやスマホのカメラ風の画面は面白い。エヴァの頃から斬新な映像描写をしていただけのことはある。
「浸水程度のこの騒ぎとかw」とかいうコメントが流れるのが皮肉効いている
電話を取るシーンや赤ペンを取るシーンの真下から見上げる独特のカメラワークが癖になる。
閣僚会議のシーン、スパッと意見を言う人もいれば言葉を濁す人もいればおどおどした人もいたり多様な人間模様がリアル。
「魚雷とかでなんとかならないのか」とか「それ、どの省庁に言ったの?」とかその辺のやり取りも妙にリアル。いかにもいそうな無責任な政治家って感じ
最初にヒロミが出てくるときの、閣僚会議→カメラ長回し→ちょっとランクの落ちる部屋に行って「誰か知り合いはいないか?」→「環境庁に」→次のシーンでは即座にヒロミがいる、と言うテンポの良さがいい
BGM"Persecution of the masses"が流れている最中
最初にBGMが流れるまでが長い上に最初に流れるBGMがよりにもよってこの曲なのでかなりインパクトがあったのを覚えている(初回視聴時)。
何にも会議が必要、文書主義、民主主義といったワードが重苦しいBGMとともに語られるのがなんとも印象的
瓦礫に埋もれる人の足、逃げ遅れたマンションの人などさりげなく、気づかないうちに静かにあっけなく人が死ぬのが、ストレートにグロテスクなものよりかえってえげつなく、演出手法としては巧みだと思った
法律の文面が画面に出る演出は斬新でした
BGM"Persecution of the masses"が終わった後
「あくまでこの国の自衛隊が」の台詞は、結果としては達成できなかったものの心構えとしては素晴らしいと思った
エレベーターでの矢口の「根拠のない楽観は禁物です」の台詞に現れるストイックな姿勢が好感持てる
ゴジラが最初に二足歩行を開始したシーン(BGM"ゴジラ上陸/「ゴジラ」/進化")
「まるで進化だ」の台詞は、"神化"ともかけた「シン化」を示唆しているのかもしれない(間教授が後に「神のような生命体」と称している。またこの映画のタイトルは「シン」・ゴジラ。)
おもちゃみたいに電車の車両が飛んでくシーンは、「人間が造ったものなど所詮この程度の価値しかないのだ」という残酷な事実を突きつけられているようで恐ろしさを感じる
また素人目線だがこの描写にはなんとなく「特撮っぽさ」を感じる。(もしこの感覚が正しければ)このような表現を可能にする特撮という技術に感心する。
BGM"Under a Burning Sky" (1回目)
おばあちゃんがいるから射撃できないジレンマ、と言うのが本当にコミカルだがこう言う状況は形を変えて現実に存在しうるので一蹴しがたい
「射撃の可否を問う」の連呼はテンポがよくかっこいい
「自衛隊の弾を国民に向けることはできない!」がたとえ(ゴジラを逃してしまったという意味で)誤った判断であったとしてもかっこよかった
直後の海が綺麗
BGM"Early morning from Tokyo"
まずこの曲そのものが素晴らしい
一時的にゴジラが去りちょっと休憩を挟むようにシーンを配置することで、緊迫したシーンとのメリハリがついて非常に良い
工業地帯の夕方のカットがいい。東京湾の海辺の景色は絵になるなぁ。
瓦礫のシーン
その場を去る人々に逆らって一歩前に踏み出し手を合わせる矢口がかっこいい
ちなみに、(何かのインタビューでみた朧げな記憶によれば)このシーンが決まった辺りから「矢口の成長物語」という一つの物語の軸が定まったのだとか。
泉登場
「首を斜めに振らない連中を」「骨太を頼むよ」
この辺のやりとりがカッコいい。痺れる。
巨災対結成(BGM"EM20_rhythm_GZM/組織結成")
作中に何度もアレンジされて流れることになる曲の初出。エヴァ好きとしてはテンション上がる曲でもある。
「はぐれ者一匹狼変わり者オタク問題児鼻つまみ者厄介者学会の異端児」と流れるように言われると笑ってしまう
この変わり者が集結する感じが好き。どのキャラも個性的で面白い(特に間教授とヒロミさん)
支給されるPCがレッツノートなのがいかにも公的機関って感じがして良い
生物系の学生としては生物系の学術的な会話劇は見ててテンション上がった
放射能との関連が疑われるシーン
SNSの投稿をちらっと写す描写は現代的でリアリティが増した
(安田さんの)小声で「ごめんなさい」は草
米国の登場
カヨコの、緩急をつけ突如ぶつ切りにするような話し方の演技が面白い
英語のやりとりもかっこいい。特に矢口の
Understood, lets get do it.
の言い方が気に入った
一切登場しないけど会話の節々から矢口の親も政治家であることが伺える(何度も見てようやく気付いた)
カヨコと巨災対の対面
カヨコの"personal service"で渡されるネットワークの図が実に興味深い
様々な角度からテンポよくフラッシュカット風に出してくる演出は好き(フラッシュカットといえばエヴァのOP)
「あなたの国は誰が決めるの?」に返す花印が重い。責任の所在が曖昧になりがちな日本的な弱さを感じる
矢口プラン
デモのシーンの直後に、ゴミ袋の中のカップ麺やスマホの壁紙の家族の写真を映す演出は実にいい。出るに出られず休むに休めず不眠不休で働きづめになっている状態が、言葉はなくともひしひしと感じられる。こういう「絵」で表現する手法は映像作品ならでは。
矢口を中心として「この国はまだまだやれる」のメッセージ性が意味深。現実の日本は「まだまだやれる」のかどうか……?
ゴジラ再上陸
見慣れたいわゆる「ゴジラ」の姿になったタイミングで初めてかの有名な「ゴジラのテーマ」を流す演出はゴジラファンには刺さったのではないだろうか。
尻尾が前を横切るカメラワークが迫力ある。
「なんでまたこっちにくるんだ!」確かになぜ首都に向かう?
ゴジラへの攻撃、タバ作戦
この辺はトランシーバーのノイズのかかった音声がいい
BGM"Black Angels"や"Fob_01/タバ作戦"が壮大で良い
軍事作戦の時に毎回総理の許可を取ってるのが日本的で良い
そういえばこの時点では空爆に対し無防備であることに今更気付く。それがかえって進化を促してしまったのかもしれない
やったか!?に応えるかのように橋の残骸を投げ飛ばす無慈悲な演出、さりげなく潰される戦車
静寂に漂う絶望感
「攻撃だけが華じゃない」が渋くかっこいい
大田区、世田谷区への侵入
この辺から漂ってくる本当にどうしようもない絶望感の演出が巧みでクセになる
停電において東京タワーの明かりが消える演出
「都民を捨てて逃げることはできない!」「東京を捨てても守らなければならない国民とこの国そのもの」
辺りがとにかくかっこいい
米軍の攻撃
心臓の鼓動のように響くゴジラの足音
ここでかの有名なゴジラの鳴き声!効果音単体としても好きなのは子供の頃から無意識になんども聞いてきたからだろうか
悲しげな曲とともにゴジラの発光、何かを吐き出して、目がくるり。そしてレーザー!東京の全てを、そしてついでと言わんばかりにあまりにもサラッと総理の乗るヘリまでも焼き尽くす。この辺の容赦の無さと圧倒的な破壊は怪獣映画ならでは。
火の海と化す東京と、その背後のBGMの組み合わせが実に耽美
ゴジラ停止
暗闇の中、心の底から悔しそうな矢口の顔。
さりげなく映るテレビで内閣がみんな死んだことがさらっと明かされる、画面の情報過多とスピード感よ。
そして泉ちゃんの
まずは君が落ち着け。
何度見てもグッと引き込まれる。その直後に画面端で泉ちゃんもちゃっかり水飲んでて笑う
矢口の切り替えの早さも偉大
すごいスピードで話を進めながらも、チラッと体育館のシーンや炊き出しのシーンを映す演出は見事。否が応でも被害状況が心に訴えかけられる
さりげなく映る猫が良い(旧エヴァの実写シーンを思い出す)
伸びちゃったよー、のラーメン気になる
「次は君か、10年後に日本が残っていたら」辺りの軽口ながらシニカルな泉ちゃん
「行政執行者だ」のタイミングで新たな矢口の肩書きが出るのが本当に良い、(登場人物が皆公的な肩書きの元に職務を全うしていただけに)
巨災対再集結
訥々と頭をさげる矢口に対し心を打たれつつもなんとも迷いながらリアクションに困る
巨災対がいかにもオタクって感じでいい
去りながら迷いもせず核の使用を検討し始める米国チームの無責任さよ。仕方ないのはわかるけれども
核の使用
矢口とカヨコの組を映した後ゆっくりとカメラが引き2人が小さくなっていく様は、二人のやりきれない気持ちと無力さを現しているようでグッとくる演出
核に対しヒステリックになる人々、あの冷徹な赤坂でさえ動揺の影
背を向けぼやく臨時総理の悲しみ、孤独
「戦後は続くよどこまでも」。だから諦めるんですか
この台詞は印象的だったなぁ
円、国債の暴落、国際社会の意識、などスケールの大きさを感じさせてくれる
核vs凍結
そりゃ選択肢としてはありだが、、、選ぶなよ
の言葉のチョイス、演技が本当に上手い
「必ず間に合わせるんだ!」が良くも悪くも日本的
避難とは住人に生活を根こそぎ捨てさせること
記者との交渉シーンまで映す描写の幅の広さには感服
折り紙
ゴジラの尻尾で金属がガチッと音を立てるのが不穏さを誘ういい演出
エヴァオタ的には「福音(evangelion)」という言葉には反応せずにはいられない
「ここは人間を信じましょう」が熱い
「スーパーコンピューター群」にさえテロップを出すのが好き
画面を覗き込む人々の独特のカメラワークが面白い
「この国で好きを通すのは難しい」「僕一人ではな」→泉のカットの演出、センスある。
「好きにしろ」が露骨に多用されてるが、どういう意図なのだろうか?
各メンバーの裏の交渉、というのがいい(奇跡を起こしてなんとか間に合わす、とかじゃなく)
米軍との共同作戦
「無傷で返す保証はない」「後で請求するから」
のやり取り、結託する熱さと切羽詰まった状態でも相手を出し抜こうとする狡猾さが絡み合ってレベルの高い知性を感じる
「10年先に総理になるより10年先にこの国を残す方がいい」
はかっこよすぎる
「この国には有能な若い人材が官民に残っている、君もいるし」
現実の日本でも矢口みたいな人がこんなこと言ってくれたらすごい頑張れそう
ヤシオリ作戦
無人在来線爆弾のテロップ、シリアスな笑いって感じでほんとすき
ここで突然BGM"宇宙大戦争"が流れたのは初めて見たときはびっくりしたなぁ
空港の滑走路で一人腕を組みながら待つカヨコのカット好き
尻尾と口から2本のレーザーを吐くのかっこいいよなぁ
ここでBGM"Under a Burning Sky"を使うのが憎い、序盤の絶望的な状態とは対比的
ゴジラが倒れるのが東京駅の前というのが(出来過ぎではあるが)絵になるなー
ゴジラが再度立ち上がってから凍結される流れにはヒヤヒヤさせられた
フランスに対し頭を下げ続けた総理代理のシーンから穏やかにBGM"Omni_00/終局"が流れ始めるのがいい
心から安心したため息の後、ぎこちなくも笑うヒロミがいい(劇中で笑顔を見せたのこのシーンくらいでは?)
並んで歩く矢口と赤坂を正面から写すアングル
スクラップアンドビルドでのし上がってきた
この言葉は東京の街を歩いている時ふとした折に思い出したりする
さりげなく映る体育館すき
最後にまた「好きにすれば」
そして締めにこの作品の中では珍しい独白、カヨコの前では弱音吐いてたのに随分強気な言葉を残してくれる矢口
そして最後の最後に映されるゴジラの尻尾、一瞬だけ映る尻尾の先端には形成中の人型の何かが……という最後まで気の抜けない恐ろしい終わり方。
「このままいってたら人型ゴジラが無数に出現して地球を蹂躙してたかもよ」なのか「ゴジラ本体が沈黙してもこの人型ゴジラが後々人類を襲いにくるよ」なのか……?基本ハッピーエンド風に締めつつも色々考えさせられるエンド。続けることも終わることもできる形にしてるのは上手い。
終わりに
本当に雑記というかメモというかなものになってしまったがひとまずこんな感じ。でも淡々とテンポよく進む「シン・ゴジラ」という作品を語るにはこういう形式が適してたのかもな、と書き終わってから思う
また気がついたところがあったら書き足していきたい。それでは。