ゼノブレイド7周年おめでとうシリーズ第3弾。
今回は「キズナ」に焦点を絞ってゼノブレイドの「世界観」や「ゲームシステム」の魅力について説明します。
ゼノブレイドには「キズナ」にまつわる要素が多く登場しますが、それらは大きく2つに分けられます。
それは「パーティーメンバー同士のキズナ」と「住人のキズナ」です。
ゲーム的にウエイトが大きいのは前者ですが、まずは後者の「住人のキズナ」について説明します。
住人のキズナ
ゼノブレイドの世界には幾つか街が登場しますが、その街には個性豊かな住人が暮らしています。
ゼノブレイドがすごいのは、尋常じゃなく多い住人同士の人間関係を「キズナグラム」というもので見ることができる、というところです。
ここに映っている街の住人は特にメインストーリーに関わるわけではないのですが、全員にちゃんと名前と設定が与えられ、住人同士の関係性も考えられています。
こうした人間関係は、住人に話しかけたり住人から依頼されるクエストをこなしたりすることで明らかになっていきます。
住人たちは実質モブではあるものの皆個性豊かで、様々な人間模様が見え隠れします。友情、愛情、時には険悪な関係もあったり……
いい意味で人間臭く、そんな人たちが暮らしていると思うと世界観もより深まっていきますし、街や世界を守るモチベーションにもつながります。
さらに面白いのが、住人から依頼されるクエストにはしばしば分岐があり、その選択によっては住人の関係が変化し得るという点です。
そして、ここにも前回お話ししたモナドの「未来視」が関わってきます。住人との会話中に「未来視」が発動すると、その住人の(大抵は悲惨な)未来が見えます。それを受けてプレイヤー側は住人を諭したり、他の住人に働きかけたりと悲惨な未来を回避するための行動を取ることができます。
繰り返し言っていることですが、こんな風にゲーム中の様々な要素が相互に関連し合っていることこそがゼノブレイドの素晴らしいところです。住人のクエストとメインストーリーというのはゲームとしては別物ですが、そこを「未来視」という1本の糸でつなぐことでゲームの世界にリアリティと統一感を与えています。
パーティーのキズナ
それでは満を辞してパーティーメンバー同士のキズナについてです。
先述のキズナグラムですが、パーティーメンバー同士の関係性も見ることができます。
今はシュルクにカーソルがあってるので、シュルクと他の仲間たちの仲の良さがわかる。
この写真にいるのは初期のパーティーメンバーであるシュルク、ライン、フィオルンの3人だけですが、ストーリーを進めるにつれ仲間の数はどんどん増えていきます。
そして、各パーティーメンバー間には仲の良さが設定されており、様々なことをすることでパーティーメンバー間の友情を強めることができます。
たとえば、一緒に戦闘に参加したり、ジェムクラフト(強化アイテムの「ジェム」をフィールドで拾える素材から合成する作業)を一緒にやったり、仲間同士でアイテムをプレゼントしあったり、ということです。このアイテムのプレゼント1つとっても、各キャラ毎に好きなアイテムと嫌いなアイテムが設定されていたりと、非常に設定が凝っていることが分かります。
ジェムクラフト。エッサホイサと言いながらジェムを作る2人。
では、こうして仲間同士のキズナを深めるとどのようなメリットがあるのでしょうか。
キズナトーク
キズナトークというのは、ある条件を満たすことで聞くことができる、パーティメンバー間の特別な会話です。
その条件というのが、
1.フィールド上の決められた場所に行くこと
2.パーティーメンバー同士のキズナを一定以上に上げること
この場合は「ライン」と「メリア」の間のキズナを最大まで上げないとキズナトークを見ることはできない。
1の条件はその場所に行くというだけなので簡単なのですが、(むしろキズナトークポイントを探すのが探索の楽しみだったり) 2の条件は場合によっては結構難しいです。
このキズナトークですが、実はゲーム的なメリットはそんなになく、唯一あるメリットがただ「キズナが深まる」だけなのです。
言ってしまうと「オマケ要素」なキズナトークですが、これが意外と深い。
ゼノブレイドのパーティメンバーは皆個性的かつ魅力的で、キャラの立った人たちばかりです。そんなキャラ同士が織りなすちょっとした日常の会話はどれも面白く、ギャグ調のものからシリアスな過去話、綺麗な風景に見惚れるようなほのぼのしたものもあれば、中にはガールズトークめいたものまで非常にバラエティに富んでいます。そんな面白い会話がこれまた実に大量に詰め込まれています。もちろん全てのキャラの組み合わせにおいてキズナトークは用意されているため、見ていて飽きることがないです。
しかも、全てのキズナトークにおいて分岐ルートがあります。分岐によって見られる会話に少し違いがあったりするので、全部見るためにはセーブ&ロードを繰り返す、なんてことをしたプレイヤーも数多くいるのではないでしょうか。
ただでさえ数の多いキズナトークに分岐ルートを作るなんてとても正気の沙汰とは思えませんが、ゼノブレイドにはしばしば圧倒的な物量に物を言わせた作り込みが見られます。これがまたゼノブレイドの魅力を形作る要素の一つであることは言うまでもありません。
チェインアタック
「キズナトーク」よりゲーム的なメリットとして、「チェインアタック」が強化される(連鎖確率が上がる)ということがあります。
チェインアタックはゼノブレイドに特有の戦闘システムの1つです。ですが、それを理解してもらうためにはゼノブレイドの戦闘システムを丸ごと把握してもらう必要があります。そこでこちら。
公式PV。Wiiの「ニンテンドーチャンネル」内で配信されていたらしいです。
動画の中でもありましたね。チェインアタック。
チェインアタックの発動に必要なパーティーゲージは溜めるのが大変な上、気絶した仲間を復活させる時にも使う大事なパラメーターです。チェインアタックは、そのパーティーゲージを一気に消費して叩き込む必殺技のようなものです。
動画では、シュルク→ライン→カルナと技が決まっていましたが、実は一定の確率でもう1周してまたシュルクに行動権が回ってくることがあります。そして、この確率は仲間同士のキズナが強ければ強いほど高くなり、運が良ければ何周もして敵をハメ殺すことさえ可能です。
このチェインアタックが崩し→転倒→気絶というシステムや未来視との相性が非常に良く、うまく決められた時の爽快感は何物にも変えがたいです。
チェインアタック中はゲーム中の時間が停止し制限時間も特にないため、とりあえずチェインアタックを発動してからゆっくり戦略を練る、なんて使い方もアリです。
このようにチェインアタックを決め連鎖し続けることはゼノブレイドの戦闘において非常に重要ですが、先述の通りキズナを深めるとチェインの連鎖確率が上がるため戦闘を有利に進めることができます。
パーティーメンバー同士の 「キズナ」の意味
今まではどちらかというと「システム」的な側面で「キズナ」について説明してきましたが、ストーリーや演出的な意味でも「キズナ」はもちろん重要です。
ゼノブレイドのパーティメンバー同士は非常に仲が良く、メインストーリーのイベントでもその様子は色濃く反映されています。
メインストーリー以外にも先述のキズナトークやチェインアタックなどゲームシステムレベルで「キズナ」が組み込まれているため、ストーリーにおける仲の良さにも違和感がないです。その様は、まるで自分が指を動かして培ってきた「キズナ」がイベント中のキャラの言動に反映されているような気さえ起こさせ、見てて非常に気持ちの良いものです。
ストーリーとゲームのシステムの結びつきと言うのは非常に重要で、逆にこれらが乖離していると制作者側の都合が透けて見えたりして没入感が削がれてしまうように思います。
次回に向けて
ところで、ゼノブレイドの戦闘は非常に「うるさい(褒め言葉)」と言われることがよくあります。
先ほどの動画を見たら分かると思いますが、ゼノブレイドの戦闘ではキャラが非常によく喋ります。技を出すたびに技名を熱く叫んでみたり、他のキャラがファインプレーをしたらそれを褒めたり、逆に失敗しても励ましてくれたり、そして戦闘が終わったらたまにキャラ同士の掛け合いがあったり……!
さらに先述のチェインアタックでも次の人に手番を回す時に必ず一声かけていたり、ついでに言うなら、メインストーリーのイベント中もみんなよく喋ります。
(なんでもこれには脚本の人も苦労したのだとか。詳細はこちら。)
とにかく賑やかで、見てるこっちも楽しくなってきます。
ゼノブレイドでは、こんな風に様々な所でキャラ同士が会話を交わす様を頻繁に見ることができます。そんなキャラ同士のやりとりを見ていると、そこに本当に「絆」が芽生えているんじゃないか、なんて思ってしまいます。
その事がたまらなく嬉しく感じるのは、やはりそれぞれのキャラが魅力的で、かつ全てのキャラの魅力を最大限に引き出している優秀な脚本があってのことでしょう。
てな訳で、次の記事では「キャラ」にフォーカスしてゼノブレイドの「物語」や「演出」の魅力に迫っていきたいと思います。
流石にこれらの話題はネタバレ抜きでは語れないので、次回からはネタバレ上等な内容になると思われます。未プレイの方はご注意ください。